建築をまなぶ旅(日本)

聴竹居から想うこと

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大阪・豊中での打ち合わせとあわせて
京都・山崎にある「聴竹居」の見学が叶いました。
(個人所有の建物のため内部の写真公開は控えさせていただきます。)
 
「聴竹居」(きょうちくきょ)は
藤井厚二の設計で、1928年(昭和3年)に建築され、築88年をむかえる自身の住まいです。
日本で最初に環境共生住宅を志向した建築家とされ、
山崎の広大な敷地において
気温や風のデータ収集し、実験住宅の建築を繰り返した中の第五回目のものです。
若き日の吉村順三もここを訪れ、後に影響を受けた住宅であると語ったそう。
 
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夏の暑さに対していかにして快適に住まうか、について徹底的に考えられており
特に風の抜けへの工夫がおもしろい。
空気を土管の中へ通し涼を得るクールチューブや、
立体的な空気の動きを促す小屋裏換気の工夫
データに基づく平面計画など。
 
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また、和と洋を融合させるべく色々な取り組みがなされている。
モンドリアン風意匠、線と円によるデザインと、日本の住宅様式の重ね合わせ
小上がりの畳による、床座と椅子生活の融合
着物でも座ることのできる椅子の設計。
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決して大きくないこの建築にこめられた、細やかな工夫を積み重ねた氏の言葉。
「其の国を代表する建築は住宅建築である」
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それぞれの場所における気候風土、人々の暮らしに寄り添う住まい。
それらはいつしか地域の文化として成熟し、人の考え方や価値観へも影響しうるもの。
これみよがしではない
現代における、透き通った住まいをつくろう。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2016.7.17

京都 俵屋旅館

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また、来たい。と思わせる宿が京都にあります。
いわずも知れた、俵屋旅館。
 
notesに掲載しております、aman resortsの創設者エイドリアンゼッカに
「hotelの原点は俵屋にある」と言わしめた世界に誇る日本旅館で、
スティーブジョブスも定宿にしていたことでも有名です。
10年前、茶道の先生に紹介して頂いてからの憧れ、で
念願の俵屋滞在となりました。
 
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京都御所のほど近く、混み入った界隈にひっそりとあります。
タクシーがつくなり、さっと数人の方がお出迎え。
カメラでもついているのか?と思うほどの、さすがのホスピタリティ高さ。
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玄関まわりは小さく、質素な構え。
ふわり、と香炉の香りが漂います。
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履物を預け、館内で最初に迎えてくれたのが、坪庭の藤の花。(訪れたのは四月末でした)
俵屋さんの醍醐味のひとつは、その設えの季節感。
わずか二帖ほどの空間でしたが、
薄い紫の花に光が反射し、あたりを照らす姿には神々しさまで感じます。
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宿泊させて頂くのは「竹泉」。
吉村順三氏が設計、中村外二工務店が施工を担当しており
後から知ったことですが中村好文さん著作の意中の建築でも紹介されていました。
八帖と三帖の続間からなり、占用面積はうんと小さいのですが
小さな専用の庭に面しており、静かでとても落ち着きます。
特大の網代天井には銀紙が裏貼りされていたり、換気扇など設備の処理も徹底されており
設計当時の工夫や工事途中でのやりとりが、目に浮かんできます。
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図書室やアーネストスタディと呼ばれる別室。
庭への解放と、室内の包まれる感覚のバランスが素晴らしく
たくさんの愉しい居場所が用意されています。
開く、だけでない外部との接点のつくり方は住宅にも参考になります。
 
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滞在でのスケッチの一部。
 
 
俵屋さんは、
旅館として長い歴史を誇り、その伝統を大切に守り維持しながらも、
他方で現代のライフスタイルや世界中のいいもの、を取り入れながら、
そこに泊まるお客様に対して感動を与え続けています。
人、と時間、に対して真摯に向き合い「もっと」を追い続ける姿こそ
今回の旅での一番の学びでありました。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2015.7.5

四君子苑

京都の出町柳のすぐ近くにある、四君子苑。
春と秋に一週間ずつのみ一般公開されるのにあわせて、
強引に時間をつくり、新緑の京都へ向かいました。
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実業家であり、茶人であった北村勤次郎(1904 -1991)の命による
茶苑と数寄屋造りの建物(旧北村邸)は昭和時代の数寄屋建築の傑作です。
四君子苑という名の由来は、
菊の高貴、竹の剛直、梅の清洌、蘭の芳香を四君子と中国で讃える風習があり、
その菊、竹、梅、蘭の頭の文字が「きたむら」と読めることから、
その品格風格にあやかることを祈って、北村謹次郎が命名したものだそう。
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四君子苑の数寄屋造りの建物は、
京数寄屋の名棟梁と謳われた北村捨次郎の晩年の作品で、
昭和15年に着工し昭和19年に完成。昭和38年には、
前回のブログでも取り上げました吉田五十八により母屋が、近代数寄屋建築に建替えられたものです。
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内部は撮影禁止とのことで、ご紹介できないのが残念。
自然を取り込む壮大な構想で計画されており
鴨川を隔てて大文字を正面に望む広間を設けていたり、高床の建物の床下を水が流れていたり。
 
室内から緑が見える、といった
よくある庭とのつながりを超える清々しい空間体験は、とても貴重なものであった。
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2015.4.26

吉田五十八の住宅

住宅はその特性上、
一旦住まいはじめるとなかなか見学することは難しい。
更に名建築家の設計となるとなおさらのこと。
 
とある方からのお話しで吉田五十八さんが設計された住宅が見れる、
とのことで、打合せも絡めていってきました。
吉田五十八さんは明治27年生まれの建築家で
数寄屋建築の近代化に努められ、
荒組の障子や大壁造りの壁体、アルミ材の下地窓や簾など
数々の独自の手法を通じて、因襲化した数寄屋建築を再生させた方。
後に文化勲章を受けたことでも知られます。
 
場所は成城。
いわずも知れた東京の高級住宅街で約560坪のゆとりある敷地に
ゆったりと平屋でかまえています。
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八掛の枠廻りや、鴨居と長押の一体化などにより
線の数を減らした室内はすっきりした印象。
各室の平面サイズに対して、天井高さや材の見付寸法を調整しており
プロポーションへの拘りを感じます。
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屋根の高さを押さえるために小さな中庭を二つ配置しており
ちょうど風抜きの効果もあり、とても気持ち良い。
風が抜ける建物はやはりいいなあ、と。
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お茶室は残念ながら入れませんでしたが、
座ってみて高さを確認してみる。ちょうどいい高さ寸法で落ち着きます。
お茶室からは眺められませんでしたが、あの開口部からの風景はどんなだろう、と想像するのも愉しいものです。
 
築後48年経過した建物からは、
伝統を引き継ぐ頑なさだけでなく
生活を支える器として、人の営みに寄りそう「優しさ」を感じました。
物としての美しさはもちろんですが
人に寄りそう、柔らかく、優しい建築をつくっていきたい。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2015.4.4

古建築にならう

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週末は今一度、古建築をみるべく京都へ。
24,5才のとき、一週間まるまるをかけて京都の建築をみてまわったのが懐かしい気がします。
 
梅原猛さんのゲストルーム、詩仙堂、蓮花寺、大徳寺高桐院の写真。
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中と外の連続性、四季の移ろいを愉しむ。
建築と庭園が不可分な日本の建築文化。
京都に限らず、美しい古建築にならう部分は極めて大きい。
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「建築は、利用可能な実用性の芸術なのです」
スウェーデンの建築家、ラルフ・アースキンの言葉を思い出します。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2015.1.28

路地の愉しみ

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先日の東京出張の際、訪れた代々木ビレッジ。
小林武史氏の総合プロデュースから各分野の専門家によってうまれたスペース。
2011年のオープンからは随分落ち着いた雰囲気になっていました。
 
山手線代々木駅をおりてすぐにあります。
前の通りがそのまま施設内に延長し、コンテナを一見無造作に配置した空間はまるでどこかの街の路地のような雰囲気。
視線の操作や、広い−狭いをうまく利用した親密で和やかな様子がとても印象的です。建物の置き方はうまいなあ、と一言。
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おすすめの場所です。
代々木ビレッジ
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2014.11.5

箱根へ

去る11月4日に箱根へ。

京都の住宅作家、横内敏人さん設計の別荘を見学できる、
とのことで行ってきました。
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敷地は箱根の強羅駅から車にて少し走ったところ。
緑深い、静かな森の中にひっそりとそれは建っていました。
近くには強酸性の温泉も湧いているようで
今回のお風呂にもひきこまれていました。
矢車状に各室が展開し
規則的なプランの中に
敷地高低差を生かした立体的なレベル操作によって
楽しげな空間が展開されたいます。
すっきりと納められた大きな開口部の多用によって
文字通り、森の中に住まうといったところ。
今回の別荘の写真はネット公開はNG。
とても美しいのでお見せできないのが本当に残念。
ご興味のある方は是非お声掛け下さい。
横内さんの建築、お庭は
個人的にずっと参考にさせて頂いてました。
品のある落ち着いた木造の住宅を数多く手がけられています。
事務所にある、氏をとりあげた建築誌は今やボロボロ。
今回は横内さんにも全体から細部に渡りご説明頂き
また、霧の中、芦ノ湖のほとりで昼食をご一緒、お話しでき
とても有意義なものになりました。
来年の2月には京都のいくつかの住宅とあわせ
横内さんの事務所も見学できる便もあるよう。
早速スケジュールは開けておこうと思います。
category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2013.11.16

建築探訪 森山邸

東京での打合せにあわせて、

いつかはみてみたいと思っていた「森山邸」へ。

設計は西沢立衛氏。

 

 

 

 

東京でも下町のゴチャゴチャした住宅街の中に埋もれるようにあります。

狭い道路を抜けると、白い小さな箱達。

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思っていたより、随分小さな箱の集まり。

通常の住宅のスケール感より

小さなこの集まりに不思議な感覚を覚えます。

 

 

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またそれらの距離感もあわせて小さい。

建物どうし、道への引き、街の人との距離。

 

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スケール感、距離感の操作により、ある世界感をもった空間ができていました。

それはいわゆる住宅では感じることのない、
新しい感覚、体験。

人のためにつくられたものではないモノに

人が住み着いたような、楽しげでいきいきとした生活の雰囲気。

 

人の感覚に訴えかけるような建築。

新しい住まいのひとつのカタチ。

 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2013.2.14

浅草観光文化センター

先日の東京出張の際にみてきました。

設計は隈研吾氏。

 

 

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雷門で有名な浅草寺の真ん前に完成した、浅草のインフォメーションセンターです。

設計コンペの末に選ばれた本設計は、ちょうど平屋の建物を積み重ねたユニークな外観。

その断面形状から生まれる斜めの天井部分を

それぞれの階によってデザインを変えることで各階のキャラクターをつくりだしています。

また各階の隙間部分を設備ゾーンとすることで、余剰空間を合理的に活用する試みもみられます。

 

エントランスホールはインフォメーションセンターらしく活気が感じられます。

吹抜けが開放的で気持ちいい。

 

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上階にいくほど人気がなくなり、その建物の美しさが反面淋しくみえてきます。

各階の内装のバリエショーンは思ったより楽しく、

勾配天井によって確かに平屋の建物のような感じはしました。

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屋上にはカフェと展望テラスが。

ランダムなトップライトの配置によりこもれびのような光が感じられます。

 

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スカイツリーもしっかりと。

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建物をみた感想。

各部分の人がみる距離、を考えさせられました。

例えば外部のルーバー。ちょうど雷門から眺めたときにはちょうどいいサイズ感であったが、

エントランス周辺ではやや大きく感じられました。

 

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また、屋上のトップライト周辺もよく見ると、二次部材や設備部材でゴチャゴチャ。

でも体験としてはまったく気にならないのです。

確か隈さんが以前ジャンヌーベルの設計したホールを見学した際

全体としての美しさと、近くでみたときのザラザラ感のギャップを書いていたのを思い出しました。

ミクロとマクロ。

行き来するバランスを持ちながら、生き生きとした空間をつくりたい。

 

 

 

おまけのサイン。かわいらしい。

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category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2012.7.24

トマス・サラセーノ展

東京での打合せにあわせて

是非行ってみたかった

銀座のメゾンエルメスにて行われているトマスサラセーノ展へ。

 

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サラセーノはブエノスアイレスで建築を学んだ経歴を持ち

現在はドイツ フランクフルトにて活動しているアーティストです。

日本では青森県の十和田美術館にて常設作品を設置しています。

 

今回の内容はサラセーノの創造する空中都市がメインの展示物で

人工過密や環境問題など様々な地上の問題から、

雲のように浮上する新たな居住空間を提案しています。

 

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やはり氏の一連の作品の延長線上に位置しているように思われ、

ふわふわと浮かぶ作品。

 

 

会場には更にもうひと作品の展示があり

個人的にはこっちがお気に入り。

気球を会場にて展示して、そのクシャクシャになった内部へ実際にはいりこめるもの。

 

その内部は、展示会場の四角い空間の中に、

煙のような流動的で不確かなものによって新たな空間が作り出されていました。

 

もともと固い物質でつくられる建築。

その条件が外れたときの新たな空間体験ができとてもおもしろかった。

 

興味のあるかたは。

http://www.art-it.asia/u/maisonhermes/FOYzTJadHwNI2LZMuWrb

 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2012.7.10
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