建築をまなぶ旅(日本)

とある出会い

IMG_2438
元タオル工場を、ひとりの時間を愉しむ、だだっ広いオーディオルームへ。
とある打ち合わせ先で出会いました。
 
新しくつくったのでは得ることの出来ない、空間の質。
なんにもないことの豊かさ。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.12.25

愛される建築

先日見学させて頂いた、西条の栄光教会牧師館。
原設計は倉敷の浦辺鎮太郎によるもの。
今治の長井設計さんを始めとする地元の方々の熱意と努力によって
素晴らしい改修がなされ、次世代へ繋がっていく。
181124-1
181124-2
グリッドを縫う斜めの抜け、
レベル差による心の距離の表現、
点在するベンチによる居場所づくり、
が特にいいなあと思いました。
 
栄光教会は、倉敷レーヨンと創業家である大原家にゆかりがあります。
倉敷レーヨンを定年退職された方からも、直接お話しを伺うことができ
こちらの企業と、西条という町の歴史を垣間見る。
築60年を超え、幾多の困難を乗り越え、
今なお住民に愛される建築にふれて、胸があつくなった。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.12.12

沖縄の建築から学ぶこと

IMG_1673
底抜けにきれいな海や空。
 
歩んできた歴史や、毎年の猛烈な台風など
厳しい環境の中、育まれてきた沖縄の建築文化。
それには、そこに住む人々の苦労と失敗の積み重ねから
徐々に形作られたことを肌で感じました。
 
環境に対して謙虚に、素直である。
気候風土への無理のない順応が、沖縄の建築の魅力であろうと思います。
 
と同時に、四国・愛媛の私達はどうか。と考えてしまいます。
その穏やかな気候のためか、
時に傲慢に「何でもできる」と思ってしまいがちです。
建築とは長い年月の間あり続けますから、
見せかけではいつか耐えられなくなります。
 
古い建物が魅力的なのは、
人間の力を過信せず、謙虚に小さな工夫を積み重ねた姿だからかもしれません。
IMG_1566
IMG_1191
IMG_1827
IMG_1830
 
沖縄でもニュータウンと呼ばれるところでは、
過去の建築とは縁遠いものがたくさん建ってありました。
それは愛媛も同じこと。
 
生活スタイルの均質化や、建材の技術開発によって
空間性のみが取り沙汰されるこの頃。
今一度、じっくりと考えてみたいと思います。
27-2
 
沖縄の旅のスケッチと写真をまとめてみました。
こちらからご覧になれます
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.20

沖縄リゾートの先駆け

1945年の終戦から27年後の1972年、沖縄は本土復帰を果たします。
73年のオイルショックを経て、75年には沖縄国際海洋博覧会が開催され、
観光、リゾート開発が活発化していく中で、同75年に完成したホテル。
それがムーンビーチホテルです。
IMG_1801
設計は当時36歳の国場幸房さんをはじめ、国建のメンバー。なお、国建はこの事業の施主でもあります。
アメリカ軍のパイロットが空から偶然発見した三日月型のビーチを、
兄であり社長である国場幸一郎さんが購入したことから始まったそう。
激動・変革の中、
「これからの沖縄のリゾート施設の方向性を自分達がつくる」
との強い思いとエネルギーの中設計は進められた。
IMG_1819
大きなガジュマルの木の下をイメージして、
日陰をつくり、風の通る、家族で楽しめる心地よい空間をつくろうと
当時は1階部分を開放されたピロティ空間であった、との記録を見ました。
(現在は店舗として使われており改変されています)
 
それって、すごい。驚きました。
IMG_1797
ホテルの奥のほうにある古そうな部屋には、
客室入口の開き戸とは別に、風の通る鎧戸の備え付けがありました。
ここからは自分の勝手な想像も含みますが、
ドアを開けて、鎧戸をしめることで風が通り、プライバシーを守れるようにしていたのではないか。
ホテルって客室と廊下やロビーとは、プツっと切ってしまうもの。
ビーチに開放されたピロティーの風は、大きな吹き抜けから各客室まで抜けていたのでは。。。
 
全部がひとつながり。
温暖な沖縄ならではの、なんと大胆でおおらかであろうか。
IMG_1766
「あらゆる常識を逸脱した方法を考え(中略)大きな空間と緑豊かな空間を実現に導くことができた」国場幸房氏
 
きっとそう。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.18

名護から那覇

IMG_1721
1981年竣工の名護市役所。象設計集団の仕事です。
一見、市役所には見えません。まるで遺跡のよう。
IMG_1698
建築と植物が、言葉の通り一体に。
ほどよく影を落とす、半屋外のパーゴラが雁行して、ずるずる繋がっていく。
IMG_1678
1階は移動の空間。2階は職員の方々の休憩の空間として使われていました。
大きなテーブルがおいてあったり、鉢植えが並んであったり、雑巾が干してあったり。
各課によって使われ方が違って、性格がでているみたいでおもしろかった。
23
そうかあ。
市役所ってこういうもの、と思い込みがあったのだなと気付く。
中のレイアウトは使いにくそうなところもあったけど、何しろ半屋外の空間が魅力的。
妙に整いすぎてないところに、
職員の方々の生活感というか、人間味が感じられて、ほっとします。
こういうアットホームな市役所があったっていい。
 
IMG_1553
続いては、沖縄県立博物館・美術館。
琉球地域に残る、グスク(城)をオマージュしています。
IMG_1517
ポーラスな外壁の下には、気持ち良さそうな空間。
時間によって、表情も変化していく。というもの。
IMG_1544
IMG_1546
なにしろ展示が良かった。
沖縄の歴史を幅広く、わかりやすく展示してあります。
文化財的なものから、民俗的なところまであって見入ってしまいます。
当時の魚売りのおばちゃんの録音も流されていて、琉球の言葉を聞く。
小気味よい響き。
 
最後に。
美術館の企画展で見た、儀間比呂志さんの版画。
沖縄戦での生々しいエピソードをもとに、たくさんの作品を残されました。
恐くて、悲しくて、痛々しくて。
涙が流れました。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.16

識名園

IMG_1503
識名園は琉球王国の別邸としてつくられたものですが、
先の第二次世界大戦、1945年の沖縄戦で焼失しました。
現在の建物は1996年に復元整備されたものです。
IMG_1458
IMG_1462
IMG_1437
IMG_1471
小さな中庭が点在していて、あちらこちらで光がもれる。
無理がない屋根のかけかた、平面計画で安心感があります。
視線の扱いも巧み。
IMG_1431
時に強烈な風雨にさらされる土地柄。
 
自然から守り、自然を愛でる。
おとなしやかな建築。
18
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.14

斎場御嶽

斎場御嶽(セーファウタキ)は、
琉球王国の創世神アマミキヨがつくったとされる、琉球王国最高の聖地です。
往時は女性しか立ち入ることができない場所だったそう。
IMG_1286
細い石敷は森の奥へ奥へと続きます。
森の中に六つの神域が点在してあります。
10
その一番奥にある神域、三庫理。
むきだしの大きな岩。
IMG_1296
IMG_1300
岩と岩の隙間に潜り込む。
IMG_1315
そこでみた光。
まさに大地の彫刻。
作為的でなく、そこに美を見出すということ。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.12

聖クララ教会

IMG_1174
那覇市の東、与那原町。
修道院や幼稚園と共に、聖クララ教会はあります。
 
設計は片岡献氏とSOM。
竣工は1958年。
1972年の沖縄返還より14年前の事。
02
時代背景もあってか、使われている材料は質素なものばかりですが、
こぢんまりとした中庭を囲むように建てられたこの建築には、
人を穏やかにする力があるみたい。
沖縄到着後、最初の見学でしたが、ふわふわした自分を落ち着かせてくれました。
IMG_1147
簡素な扉を開け、細い廊下を抜けると緑の中庭が。
手が届くほどの背の低い建物は人に近く、親近感を感じます。
60年を経過した建物ですが、みんなに大切にされているのでしょう。
日々使われている人の気配がします。
 
IMG_1140
IMG_1136
IMG_1151
IMG_1162
与那原のまちの丘の上にある教会。
教会の中には、
まちから聞こえる車の音や、吹きつける風の音。ここで生活しているシスター達の足音が聞こえてきます。
 
人々の生活と共にある、祈りの場。
特別ではない日常、がありました。
04
「ここは私達の大切な家よ」
と、にっこり笑うシスターが印象に残っています。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.11

沖縄の旅

IMG_6418
沖縄の建築を巡る。
 
本や資料で済ますことなく、現地にいきたい。
建築そのものを見て感じるのはもちろん、
まちの人や空気、歴史や風土を同時に見なければとの思いから。
 
四日間のひとり旅。
古いものから新しいもの、南部から北部へ。
少しずつ、まとめてみようと思います。
 
 
最後に、ホテルムーンビーチ、ブセナテラス、美ら海水族館を設計され
沖縄の建築界をリードしてこられた、国建の国場幸房先生の言葉。
「その地域の建築文化を追求するのが地域に住む建築家の責務だと思って居る。
私の建築の設計に対する思考のあり方は、
沖縄の一般的な家庭料理であるゴーヤーチャンプルーやカンダバージューシーを建築的に再現しているような気がする。
それは地域・風土で生まれた素材の持っている力をいかに引き出していくかということにおいて・・・。」
沖縄ん建築紀伝より。
 
帰りの飛行機の中、心を打たれました。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.11.8

木を知ることから

「木材」についての研修。
久万高原町の林業研究センターへ行ってきました。
木材の基礎知識から、木材市場や山林の見学、強度試験の実験までを1日をかけて行います。
IMG_0467
IMG_0476
圧倒的なスケールの木材市場。
IMG_0480
生命力に満ちた原木。
ごろんごろんと並べられたそれらからは、生き物の気配を感じます。
 
IMG_0490
続いては、曽祖父の代から続くという、林業家の岡さんの複層林へ。
先日切り倒したという、樹齢130年の切り株を前に説明頂きました。
個人の損得を超えて、もっともっと長い時間軸の中で山や木を受け継いでいくこと。
高い安いだけでない、消費エネルギー量という視点をもつこと。
IMG_0493
樹齢100年を超える大きな杉を前に、
岡さんのお話しが染み入ります。
 
近くにある、こんなにも魅力的な素材。
豊潤な四国の大地。
知っているようで知らないことはたくさんあります。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(日本) | posted at 2018.9.25
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

アーカイブ

ブログ内検索

089-968-2887info@okunotakashi.jpcontact
PAGE TOP
奥野崇建築設計事務所 公式インスタグラム