識名園は琉球王国の別邸としてつくられたものですが、
先の第二次世界大戦、1945年の沖縄戦で焼失しました。
現在の建物は1996年に復元整備されたものです。
小さな中庭が点在していて、あちらこちらで光がもれる。
無理がない屋根のかけかた、平面計画で安心感があります。
視線の扱いも巧み。
時に強烈な風雨にさらされる土地柄。
自然から守り、自然を愛でる。
おとなしやかな建築。
keep smiling!
奥野 崇
斎場御嶽(セーファウタキ)は、
琉球王国の創世神アマミキヨがつくったとされる、琉球王国最高の聖地です。
往時は女性しか立ち入ることができない場所だったそう。
細い石敷は森の奥へ奥へと続きます。
森の中に六つの神域が点在してあります。
その一番奥にある神域、三庫理。
むきだしの大きな岩。
岩と岩の隙間に潜り込む。
そこでみた光。
まさに大地の彫刻。
作為的でなく、そこに美を見出すということ。
keep smiling!
奥野 崇
那覇市の東、与那原町。
修道院や幼稚園と共に、聖クララ教会はあります。
設計は片岡献氏とSOM。
竣工は1958年。
1972年の沖縄返還より14年前の事。
時代背景もあってか、使われている材料は質素なものばかりですが、
こぢんまりとした中庭を囲むように建てられたこの建築には、
人を穏やかにする力があるみたい。
沖縄到着後、最初の見学でしたが、ふわふわした自分を落ち着かせてくれました。
簡素な扉を開け、細い廊下を抜けると緑の中庭が。
手が届くほどの背の低い建物は人に近く、親近感を感じます。
60年を経過した建物ですが、みんなに大切にされているのでしょう。
日々使われている人の気配がします。
与那原のまちの丘の上にある教会。
教会の中には、
まちから聞こえる車の音や、吹きつける風の音。ここで生活しているシスター達の足音が聞こえてきます。
人々の生活と共にある、祈りの場。
特別ではない日常、がありました。
「ここは私達の大切な家よ」
と、にっこり笑うシスターが印象に残っています。
keep smiling!
奥野 崇
沖縄の建築を巡る。
本や資料で済ますことなく、現地にいきたい。
建築そのものを見て感じるのはもちろん、
まちの人や空気、歴史や風土を同時に見なければとの思いから。
四日間のひとり旅。
古いものから新しいもの、南部から北部へ。
少しずつ、まとめてみようと思います。
最後に、ホテルムーンビーチ、ブセナテラス、美ら海水族館を設計され
沖縄の建築界をリードしてこられた、国建の国場幸房先生の言葉。
「その地域の建築文化を追求するのが地域に住む建築家の責務だと思って居る。
私の建築の設計に対する思考のあり方は、
沖縄の一般的な家庭料理であるゴーヤーチャンプルーやカンダバージューシーを建築的に再現しているような気がする。
それは地域・風土で生まれた素材の持っている力をいかに引き出していくかということにおいて・・・。」
沖縄ん建築紀伝より。
帰りの飛行機の中、心を打たれました。
keep smiling!
奥野 崇
引渡しから二ヶ月を経た、西条の家。
秋空の下、本日撮影を行いました。
撮影開始前の朝の時間。
建物の中から聞こえてくるお子さんの笑い声や、掃除機の音。
工事中、ガランと静かな物だった建物が、
人がはいり、暮らしが始まって、すっかり家族の住まいへと。
気のせいか、
空間も少し表情が和らいで、あたたかくなったよう。
keep similing!
奥野 崇
母屋棟では、大工さんがコチコチと竹を削っておられます。
天井板をとめるイナゴ釘の製作中。つくる現場を実際に見るのは初めての事でした。
板の裏面。ありを切って差し込みます。
板の表面。仕上がりはこうなります。
それはそれは細かい作業。
若い棟梁。頼もしい限り。
一方の茶室棟。
お茶室は、壁の厚さが約40mmと通常の半分以下の薄い土壁となりますので、
その下地である小舞も割物の竹を使って薄くつくります。
廻縁などの取り付けが終われば、
柱との取り合い部分にひげこや暖簾打ちを施します。
原寸図で詰めの打ち合わせを終え、いよいよ追い込み。
老練の棟梁。よりよく、と仕事に誇りを感じます。
母屋棟・茶室棟共に、素晴らしい職方に恵まれました。
佳境を迎えます。
keep smiling!
奥野 崇
カナダのバンクーバーに拠点を置く、木材供給の会社であるCoast Fraser社。
愛媛県内製材工場等の視察にあわせて
「ブドウ棚のある家」の現場へも来て下さいました。
県内木材関係者や加工業者の方々も同行。同社CEOのFrank Hui氏は写真左の方です。
リビングの外にブドウ棚が拡がる、
趣味と暮らしがひとつになった、日々を楽しむ家。
Huiさんご自身も家族と過ごすのが好きで、地下にワインセラーがあるとか。
建物の主要構造部の80%以上に県産材を利用しており、
また、軸組の木造建築にも興味を持って頂けたよう。
改めてメールでのやりとりを約束して、今日の視察は終了です。
杉は全国11位、桧は全国1位。
愛媛県は全国有数の木材生産量を誇ります。
四国で木の建築に携わること。
この上なく恵まれた環境です。
keep smiling!
奥野 崇
リビングやライブラリーのすぐ外には、3m×7mのガラス屋根のブドウ棚。
風に揺れる葉裏を眺めながら、午睡の時間。
ブドウの栽培が趣味のご主人さんと、そのご家族の住まい。
開け放せる大きな開口、ロールアップできる網戸など工夫を込めてあります。
明日、上棟にあわせてお餅まきを行います。
お誘いあわせの上、ぜひご参加くださいませ。
1o月13日(土)16:30頃から
「ブドウ棚のある家」
松山市西垣生1358-1(フジ垣生店のほど近くです)
keep smiling!
奥野 崇
引渡しから2ヶ月、中野町の家の撮影へ。
元々は、建主さんのおじいさんの家。
いわゆる古民家改修の仕事です。
古いものと新しいもの。
それぞれの良さを認めて、共存させよう。
設計中、工事中と思い出深い建築。
再会のような気持ち。
keep smiling!
奥野 崇
この度、「真言宗光林寺 位牌堂」が
平成30年日本建築士会連合会賞 奨励賞 を受賞致しました。
入賞作品を見ますと、有名事務所のものがずらり。
四国の片田舎で、職人さんとワイワイとやってきたことが 、
全国的に認められたような気がして、本当に誇らしく思います。
真言宗光林寺 位牌堂
設計監理:奥野崇建築設計事務所 奥野 崇
構造設計:増川建築構造設計 増川 和弘
施工:有限会社 獏工房
keep smiling!
奥野 崇