メキシコ、バラガン視察から無事帰松。
旅のまとめは追ってアップしていこうと思いますが、
進行中現場の様子です。
「立礼茶室のある家」
工事も佳境。
リビングルーム周辺の空間は最終の仕上げを待つのみです。
茶室の廻縁では天井の工事が進みます。
尺八と小舞を藤蔓で縛っていく藤原棟梁。
藤蔓は1日水へ漬けこんで柔らかくします。
縛り方、方向についても細かく調整くださいました。
白竹垂木、女竹尺八、女竹吹寄小舞藤蔓絡み、葦詰打天井の構成。
ひとつひとつ丁寧に。
いよいよ大詰め。
keep smiling!
奥野 崇
「孤独と一緒にいる時だけ、人は自分自身と向き合える」
とはメキシコの建築家、ルイス・バラガンの言葉。
メキシコの豊かな大地を、鮮やかな色彩で抽象化した建築。
その一方、寡黙な空間の写真にじっと見とれてしまったのは、
今は昔、学生のころだったと思います。
バラガン建築へ会いに。いざ、メキシコへ。
keep smiling!
奥野 崇
日本武道館や京都タワーの設計者として知られる
山田守の自邸が期間限定にて公開されるとあって見学に伺いました。
1894年生まれの建築家です。
敷地は青山学院大学のすぐ隣。
1959年、65才のときの建築とのこと。
ブーメラン型の平面にて庭を抱くように建物はあります。
今では、大きく育った緑に埋もれるよう。
要所要所に曲線が使われています。
内部は撮影できませんでしたが、部材の線を消すモダンな和風。
それでも固い固い印象とならなかったのは、曲線の影響でしょうか。
モダンでシンプルな建築を目指しながらも
生物的なやさしい空間をつくろうとする葛藤の中にある建築のように感じました。
続いては、松涛美術館。
白井晟一の設計。1905年生まれで、建築は1980年の竣工。
和でもない、洋でもない、独特な佇まい。
閑静な住宅地の中にひっそりとあります。
一番の特徴は建物の中心にある、水盤のある光庭部分。
周辺の環境から切り離されたひとつの世界。
反響する水の音に満たされた静かな空間。ガラスの反射によって無限に続くよう。
各部材や取り合わせは複雑なものが多いのですが
それらが高度に調律されてひとつの世界観がつくられています。
恣意的なようで、違和感がない。
奥の深い建築。
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奥野 崇
工事中の現場での、とある部材の切れ端。
デコボコとなかなかの複雑さ。
これは何か、というと。答えは敷居。
建具(戸)が走る脚元の部材です。
通常よりも手の込んだこの断面形状には、
ある工夫が込められておりますが、
改めてご紹介するとして。
この部材に丸太柱が取り合うものですから、もちろん加工は難しくなります。
「取り付けが大変ですが。。。」と笑顔で話される大工棟梁。
できる限りの図面は書きますが、最後は人の手。
情熱と誇りをもった職人さんの存在があってこそ、建築は形を成します。
ここは俺の現場だ、と腰を据えてやってくださる方がいる現場には
多くの人を包み込む安心感があるように思います。
ありがたい、の一言。
keep smiling!
奥野 崇
夜、事務所でひとりになると、音楽を聴きながら仕事をします。
その時に流すのは大抵同じ方のもので、その穏やかさが心地よくて。
haruka nakamuraさんの音楽。
夜の静けさにすうっと馴染んで、心が落ち着きます。
恥ずかしながら、人物のことを全然知らなくて調べてみると、
青森県出身の1982年生まれ。なんと年齢が私と同じ。
メディアへの露出は多くないようですが、
インタビュー記事を読んでみて、いいなあ、と。
特に後半あたり。
たくさんにモノがつくられる今、それに向かう姿勢。
ほどよい脱力感の中に垣間みえる、静かな決意。
昨年末には新しい作品を発表されているよう。
piano solo versionは好み。
過去のアルバムのTwilightやGraceはおすすめ。
やさしくなれたような気がします。
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奥野 崇
高気密高断熱の住まい、をかかげ工事を進めております、
暖かい終の住処にて気密試験を行いました。
建物に存在する隙間相当面積をはかることで、その数値はC値とも表現されます。
開始前に、試験内容の説明を。
窪田棟梁も一緒に聞いて下さいました。
試験開始。
負圧がかかり、張りこめた防湿シートがぐぐぐっと室内側に引っ張られてきます。
結果は0.5c㎡/㎡。
国の定めるH25年省エネ基準にはC値の規定がなくなりましたが、
断熱と気密の両立は重要。
過去の規定では一部地域にて2.0c㎡/㎡以下とされており、今回は1.0c㎡/㎡を下回るようにと考えていた中での結果。
ひと安心かな、と。
外部でも工事はちゃくちゃくと。
今回は外壁の一部をガルバリュウム鋼板を一文字葺きにて仕上げ。
和風建築の意匠にてみられる手法。
ひとつひとつ進んでまいります。
keep smiling!
奥野 崇
暖かい陽の光に、春の訪れを感じる今日。
松山市衣山にて、めでたく建て方を迎えました。
「ピアノ教室のある家」
息のあった大工さんの動きには爽快感すら感じます。
作業は順調に進み、
お昼すぎには全体の様子がわかるように。
神事の前には、かわいい2匹の住まい手さんも飛び入り参加。
おかげで現場の空気もやわらぎました。
keep smiling!
奥野 崇
立礼茶室のある家、外壁の左官工事がはじまりました。
そとん壁で仕上げます。
天井の杉源平小幅板もきれい。
茶室では柱の木配りを。
実際に現場に建ててみて、木材の表情や寸法をみながら入れ替えたり、回転させたり。
茶室の奥に化粧垂木が覗きます。
ひとつひとつ積み上げてきた現場も佳境を迎えています。
keep smiling!
奥野 崇
さきの授賞式にあわせて、東京近辺をうろうろと。
乃木坂のギャラリー間で開催中「堀部安嗣展 建築の居場所」へ。
堀部さんの建築は
竹林寺納骨堂 / 高知 、 鎌倉山の集会場 / 神奈川 、 香川での講演会
にて見学や拝聴、お話しさせて頂きました。
心に響く言葉。
「今、建築が人びとのたくさんの希望や欲望を背負っている。
それによって、もともと建築がもっていた基本的な役割と佇まいが失われてきているように感じる。
私は建築が背負う重荷を少しずつ取り除いて、本来のシンプルな姿に戻してあげたい。
堀部 安嗣 2017年」
建築の根源的な意味を見つめ続け、素直に実践し続ける氏。
きっと、建築に感動し、憧れ、渇望し、愛しているのだろう。
徹頭徹尾取り組む姿に、勇気を頂いた気がしました。
続いて、新宿区中井にある林芙美子邸へ。
「放浪記」などで知られる昭和の小説家の自邸です。
設計は山口文象の手によるものですが、建築にあたり林芙美子本人もかなり勉強したよう。
山口による繊細な数寄屋風テイストと、
林による普段使いの民家風テイストが混ざり合う、
こじんまりとした、親しみ深い建築となっています。
派手さはないですが、見るほどに いいなあ と思う住宅。
keep smiling!
奥野 崇