建築をまなぶ旅(海外)

イスラエルの旅1 エルサレムと宗教

エルサレム。

永く、深く、そして複雑な過去と今を抱える街。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が、小さな旧市街の中で目と鼻の先で犇めき合っています。それぞれのルーツを辿れば近接の理由も理解できますが、ここがいかに特別な場所であったかが伺い知れます。

 

今回の旅では、特にユダヤ教とキリスト教の聖地を巡りました。(イスラム教の聖地、岩のドームは一部入場規制中)

 

 

 

「嘆きの壁」

かつてユダヤ教の神殿が建っており、ローマ軍に破壊されたのが西暦70年。

そのとき部分的に残ったのが神殿を囲む西側の外壁で、ユダヤ人の聖地となっています。

神と対話する信者達は、石の隙間に紙にかいたメッセージを差し込みます。

独特な格好をした男性は、ユダヤ教の戒律を守り生活をしている、正統派と呼ばれる人々。

 

 

 

「ヴィア・ドロローサと聖墳墓教会」

イエスが処刑まで一歩一歩進んだ足跡を追走するヴィア・ドロローサと、

それのクライマックスの舞台となった地にある聖墳墓教会。

教会の中には十字架をたてたとされる跡や、香油を注がれた石盤、イエスの墓などが今も残っています。

キリスト教においてとても重要な聖地。

 

 

 

歴史や宗教、人種など複雑で難しい問題を内包した街のなかで、

それはそれは、美しい光に出会いました。

 

 

 

keep smiling!

奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2019.5.31

イスラエルの旅 はじめに

約一週間のイスラエルの旅。

 

そこで見て感じた、気候風土や文化、宗教や歴史、そして人々。

一連を反芻するように、振り返ってみようと思う。

 

※写真:ユダヤ教の聖地、嘆きの壁

 

 

keep smiling!

奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2019.5.25

メキシコの旅4 カミノレアルホテルとサン・クリストバルの厩舎

メキシコシティでは、レゴレッタの約50年前の仕事、カミノレアルホテルへ宿泊。
s_IMG_1550
36
s_IMG_1560
s_IMG_1587
もちろん部分的な改修はなされていますが、色褪せないその姿に感銘をうけます。
 
 
続いて、バラガン視察。
s_IMG_1697
バラガンは最後期の前の約10年、建築の世界から離れてしまいます。
その直前の仕事、メキシコシティの高級住宅街にあるサン・クリストバルの厩舎。
s_IMG_1635
バラガンのおもう理想的な暮らしとは、馬と共にあるものだったよう。
人の住まう住宅と、馬の厩舎、人と馬の為の乗馬のスペースがまとめられています。
s_IMG_1679
s_IMG_1695
キャリアの初期は機能主義的な仕事を行ったバラガン。
ある時期からは、自分の想う建築のみをつくる、と皆に宣言し取り組んだ仕事。
s_IMG_1699
シンボルツリー的なパドック、馬の脚を冷やすプール、馬に乗ったまま通り抜けられる仕切り壁。
建築に求められる機能は満足しながらも、息をのむような美しい瞬間をつくる。
s_IMG_1619
s_IMG_1703
折り重なりや色彩、縮小と拡大など
様々な技法によって唯一無二の空間をつくったバラガン。
その上で最も大切なのは、彼の思想と思っています。
s_IMG_1639
建築には機能を超えて、心に響く空間をつくることもできる。
対峙するものではなく、ある種、人を支配するような世界をつくりうる。
バラガンの建築を体験して、
その内向的で詩的な空間に、彼の精神性をみた気がしました。
 
 
※メキシコの旅、一連のスケッチと写真をまとめました。
ブログでは書ききれていないものもあります。
リンクのページに整理しましたので、ご興味あればご覧頂ければと思います。
 
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.5.21

メキシコの旅3 プリエト・ロペス邸

バラガンは建築家でありつつも、宅地分譲を行うデベロッパーでもありました。
s_IMG_1350
溶岩だらけの荒野を、自身が開発した分譲地内に建つ個人住宅。プリエト・ロペス邸。
何人かのオーナーの所有の間に窓や外壁色の改変工事もあったようですが
現在のオーナーはオリジナルに戻す工事を行い、それがひと段落したとのこと。
s_IMG_1359
そう大きくないエントランスから
大空間の予感はさせながらも、腰壁によって見通せない。
テイストは違えど、アアルトのマイレア邸に近い感覚を覚えました。
s_IMG_1358
のびやかな住宅。
小梁が連続して並ぶ天井は、日本の建築ともそう遠くない印象。
塗り込められた梁が、小さな垂れ壁のようで、
空間が重層していることを強調しています。
s_IMG_1383
s_IMG_1454
詩的なバラガン邸に比べ、全体が明るく陽気な雰囲気。
家族と共に過ごす楽しい気持ちになります。
s_IMG_1369
s_IMG_1415
天井の高さ、建具枠、家具の大きさなど
全体の寸法が大きめにつくられており
空間サイズの比率にあわせて拡大したよう。
 
空間比率によって見付寸法を調整する手法は
吉田五十八先生の住宅でもみられたことを思い出す。
s_IMG_1374
s_IMG_1372
キッチンやパントリーにはトップライトが設けられ
スポットライトのように照らします。
薄いピンクのタイルと、濃い赤の食器棚。
s_IMG_1399
庭には開発当時の溶岩をそのままに、野趣あふれるつくり。
s_IMG_1447
複数の人々で過ごすことを前提にした明るい住宅。
瞑想的な空間をつくるバラガンの仕事としては、少し意外。
32
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.5.18

メキシコの旅2 バラガン自邸

メキシコ入り。
s_IMG_1241
首都メキシコシティの住宅街にひっそりある、ルイス・バラガン自邸。
1948年竣工。
1988年に亡くなるまで、後半生を過ごした自邸兼仕事場です。
2004年にはユネスコの世界遺産にも登録されているよう。
通りに対してはそっけない姿。まさかここがバラガン邸とは、といった感じ。
IMG_1153
一転、
内部には、写真で何度もみた光景。
光、を感じる。
静止したような空間の数々。
IMG_1136
s_IMG_1160
s_IMG_1188
s_IMG_1214
s_IMG_1184
まさに静寂。
各部屋ごとの異なる光によって空間の性格が与えらます。
また、空間の中に絵画的に美しい瞬間がある。
s_IMG_1195
s_IMG_1117
s_IMG_1162
s_IMG_1230
「孤独と一緒にいる時だけ、人は自分自身と向き合える」
とはバラガンの言葉。
一人の時間を大切にし、
生涯独身で、気の許せる限られた人とのみバラガンはこの家で共に過ごしたそう。
バラガンの心を体現する建築。静かな建築。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.5.16

メキシコの旅1 キンベル美術館

s_IMG_0982
メキシコ入りする前に、アメリカのテキサス州ダラスにて乗り換え。
ほど近くのフォートワースまで足を伸ばして、
1972年のルイス・カーンの仕事キンベル美術館へ。
 
実はカーンには個人的に思い入れがありまして。
僕が建築を志すきっかけとなった、学生時代の恩師から
当時ルイス・カーンの素晴らしさを聞いておりました。
 
いくつかの本を読み漁りましたが、
なにしろカーンの言いまわしは詩的で難解。
当時の僕には、理解できていたのか、できていなかったのか。。。
時を経て今ようやく体験する機会を得た、といったところです。
 
s_IMG_0952
建築自体は特に突飛な形状をしているものではなく、
かまぼこ上の屋根が連続するもの。
一見、古典建築のようでもあります。
s_IMG_0976
s_IMG_0971
頂部にトップライトが設けてあり、
内部側の反射板によって、天井面へ自然光が柔らかく拡散させるのが特徴。
s_IMG_0974
s_IMG_0973
s_IMG_0811
10
建築の要所にいくつか計画されている中庭。
そろぞれは決して広くないですが、効果的でとてもきれい。
 
 
s_IMG_0872
見所がたくさんある建築ですが、
僕はこの建築の特筆すべきは、人の居場所の豊富さ、ではないかと思いました。
s_IMG_0846
s_IMG_0984
建築の一部には、水盤を目の前にすっと置かれた石のベンチがあります。
先の中庭スペースの周辺もそうですが、
展示される芸術や、それぞれの歴史的背景に、
来訪者が物思いにふけるスペースが点在している。
 
光、という果てしない建築の要素をテーマにしながらも
それを使う人に眼差しが向いているというか。
想いを反芻できる、落ち着きある居場所のつくり込みが行われています。
13
14
各部のスケッチ。
 
 
s_IMG_0802
ちょうど美術館の展覧会はルイス・カーン特集。
s_IMG_0803
s_IMG_0806
s_IMG_0807
カーンの使用した手帳や画材の展示はもちろん
ドローイングやスケッチの現物掲示も。
カーンのつくる繊細なイメージとは少し異なりましたが
力強く、生命力にみちたものばかり。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.5.14

旅のスケッチと スリランカまとめ

01
スリランカでのスケッチ。
現地で描き、色付けしたもの。
 
05
06
12
14
28
27
29
30
忘れたくないその瞬間を描きとめること。
今いるこの空間を俯瞰すること。
 
バワのつくった空間を体験して思う。
まだ見ぬ特別、があったのだと。
建築のもちうる力はまだまだ奥が深く
こんなにも愉しみにあふれたものなのだ、と改めて思う。
 
許されるならば、もっともっとおおらかに泳いでみたい。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.9

バンダラウェラの教会 Chapel for the good shepherd convent

IMG_8857
1962年竣工。主としては、バワの初期のパートナーであるウルリック・プレスナーの設計。
スリランカの高原地域として知られるヌワラエリヤやエッラに近いあたり、バンダラウェラにあります。
セイロンティーの中でも代表格のウバ紅茶の産地として知られるあたり。
IMG_8881
周辺はのどかで牧歌的な風景。町というよりは、村といった雰囲気。
 
IMG_8860
質素で禁欲的な印象をもちます。
あえて、というよりは、
周辺でとれる限られた建築資材のみでつくられているからかもしれません。
派手さはありませんが、一歩入った瞬間から息をのむよう。
いい建築というのは理屈抜きに心に訴えるものがあります。
IMG_8844
祭壇の上部にはトップライト。
石積みの表情をかえることで陰影がつくられます。
IMG_8831
一見、開口がないようにみえる石積み壁部分にも通風を得る工夫が。
構造も担うアーチ状の外壁と少しずらして、手すり壁が立ち上がります。
その隙間を風通しのスリットとして利用。反射光はほのかに石積み壁を照らします。
 
IMG_8861
建物の柱を利用した十字架のモチーフがみてとれます。
強烈な植物の力を感じるスリランカですが、建物周辺はなんだか優しく感じます。
 
24
23
25
小さな村にある、小さな教会。
 
それは、人々に愛されながら、慎ましくありました。
シンプルな中にも、味わい深い建築はつくることができる。
「たくさん」は、いらないのかもしれません。
 
にっこり笑うシスターの表情が印象的でした。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.8

ラストハウス Last House

バワの絶作となったこの建築。ラストハウス。
完成を見ることなく、バワは2003年にこの世をさります。
IMG_8745
スリランカの南の沿岸地域、タンガッラの海辺。
現在も小規模なヴィラとして利用されていますが、道路への看板やサインはひとつもありません。
車一台分が精一杯の小道のその先にひっそりと佇みます。知る人ぞ知る、といった感じ。
 
IMG_8746
道路側からは開口がひとつあるだけ。
バワの建築言語のひとつ、潜り込む、がここでも。
規模は違えど、アプローチの仕方はベントタのビーチホテルにとても似ています。
 
IMG_8781
IMG_8796
階段を上りきると、薄暗い回廊と、明るいプール付きの中庭。
コの字型に建物は配置され、
道路側とはレベル差によってプライバシーを確保するという上手い処理。
 
IMG_8799
IMG_8788
共用部分の開放的なアウトドアリビング
IMG_8789
ほどよい光量と、白のインテリアが映えるインナーリビング。
 
IMG_8798
目の前にはインド洋。それでも直接ビーチではないので落ち着きがあります。
確かに、宿泊していたヨーロピアンも年齢層は高めでした。
IMG_8802
木漏れ日と重層する外部空間の連なり。
 
IMG_8775
IMG_8783
IMG_8769
各ゲストルームにも見とれてしまうほどの綺麗な光が。
水回りの魅力はため息がでるほど。
19
17
18
小規模な建築ではあるが、つめこまれたたくさんの魅力的な空間の数々。
 
バワ自身がその場を歩きながら設計したような建築。
彼の目線の動きを追走してしまう、パーソナルな空間に彼の集大成をみた気がしました。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.5

カンダラマ Heritance Kandalama

スリランカの中央付近、ダンブッラのほど近く。
かつて農業用水の確保のためにつくられた、人造湖であるカンダラマ湖。
そのほとり。
言わずもがなバワの最も有名な建築のひとつ、カンダラマホテル。
 
IMG_8475
圧倒的な存在感を持つ熱帯植物に、とりこまれることを許容する建築。
 
IMG_0749
自然と一体、などという月並の表現では足らず
自然に飲み込まれるのを待っているようにも思える。
 
 
IMG_8495
IMG_8491
開放的なラウンジや、
ラキ氏による彫刻がシンボリックなレストランへの階段。
 
IMG_8427
昨年に続いての訪問だったからか
ゲストルームをアップグレードしてくださいました。
10
09
全体のアウトラインはシンプルながらも
引き戸の処理や、見え方や見える範囲の細々した調整で
豊富な空間体験がつめこまれているのがバワの特徴と思います。
 
 
二度目の滞在となった今回。
特に感じたのは、自然の移ろい。
IMG_8462
大地の明るさによって、時間流れに気づき
当たり前のように訪れる、1日の終わり。
IMG_0770
その濃度により新たな今日の日を知り、
IMG_8494
明るい陽の光による、内面からこみあげる喜びに気付く。
 
IMG_8445
圧倒的な自然を前に、建築の印象は薄くなる。
建築はより透明な存在へ。
人の原始的な感覚を取り戻させてくれる、新鮮な体験。
 
08
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.4
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

アーカイブ

ブログ内検索

089-968-2887info@okunotakashi.jpcontact
PAGE TOP
奥野崇建築設計事務所 公式インスタグラム