建築をまなぶ旅(海外)

バンダラウェラの教会 Chapel for the good shepherd convent

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1962年竣工。主としては、バワの初期のパートナーであるウルリック・プレスナーの設計。
スリランカの高原地域として知られるヌワラエリヤやエッラに近いあたり、バンダラウェラにあります。
セイロンティーの中でも代表格のウバ紅茶の産地として知られるあたり。
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周辺はのどかで牧歌的な風景。町というよりは、村といった雰囲気。
 
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質素で禁欲的な印象をもちます。
あえて、というよりは、
周辺でとれる限られた建築資材のみでつくられているからかもしれません。
派手さはありませんが、一歩入った瞬間から息をのむよう。
いい建築というのは理屈抜きに心に訴えるものがあります。
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祭壇の上部にはトップライト。
石積みの表情をかえることで陰影がつくられます。
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一見、開口がないようにみえる石積み壁部分にも通風を得る工夫が。
構造も担うアーチ状の外壁と少しずらして、手すり壁が立ち上がります。
その隙間を風通しのスリットとして利用。反射光はほのかに石積み壁を照らします。
 
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建物の柱を利用した十字架のモチーフがみてとれます。
強烈な植物の力を感じるスリランカですが、建物周辺はなんだか優しく感じます。
 
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小さな村にある、小さな教会。
 
それは、人々に愛されながら、慎ましくありました。
シンプルな中にも、味わい深い建築はつくることができる。
「たくさん」は、いらないのかもしれません。
 
にっこり笑うシスターの表情が印象的でした。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.8

ラストハウス Last House

バワの絶作となったこの建築。ラストハウス。
完成を見ることなく、バワは2003年にこの世をさります。
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スリランカの南の沿岸地域、タンガッラの海辺。
現在も小規模なヴィラとして利用されていますが、道路への看板やサインはひとつもありません。
車一台分が精一杯の小道のその先にひっそりと佇みます。知る人ぞ知る、といった感じ。
 
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道路側からは開口がひとつあるだけ。
バワの建築言語のひとつ、潜り込む、がここでも。
規模は違えど、アプローチの仕方はベントタのビーチホテルにとても似ています。
 
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階段を上りきると、薄暗い回廊と、明るいプール付きの中庭。
コの字型に建物は配置され、
道路側とはレベル差によってプライバシーを確保するという上手い処理。
 
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共用部分の開放的なアウトドアリビング
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ほどよい光量と、白のインテリアが映えるインナーリビング。
 
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目の前にはインド洋。それでも直接ビーチではないので落ち着きがあります。
確かに、宿泊していたヨーロピアンも年齢層は高めでした。
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木漏れ日と重層する外部空間の連なり。
 
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各ゲストルームにも見とれてしまうほどの綺麗な光が。
水回りの魅力はため息がでるほど。
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小規模な建築ではあるが、つめこまれたたくさんの魅力的な空間の数々。
 
バワ自身がその場を歩きながら設計したような建築。
彼の目線の動きを追走してしまう、パーソナルな空間に彼の集大成をみた気がしました。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.5

カンダラマ Heritance Kandalama

スリランカの中央付近、ダンブッラのほど近く。
かつて農業用水の確保のためにつくられた、人造湖であるカンダラマ湖。
そのほとり。
言わずもがなバワの最も有名な建築のひとつ、カンダラマホテル。
 
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圧倒的な存在感を持つ熱帯植物に、とりこまれることを許容する建築。
 
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自然と一体、などという月並の表現では足らず
自然に飲み込まれるのを待っているようにも思える。
 
 
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開放的なラウンジや、
ラキ氏による彫刻がシンボリックなレストランへの階段。
 
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昨年に続いての訪問だったからか
ゲストルームをアップグレードしてくださいました。
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全体のアウトラインはシンプルながらも
引き戸の処理や、見え方や見える範囲の細々した調整で
豊富な空間体験がつめこまれているのがバワの特徴と思います。
 
 
二度目の滞在となった今回。
特に感じたのは、自然の移ろい。
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大地の明るさによって、時間流れに気づき
当たり前のように訪れる、1日の終わり。
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その濃度により新たな今日の日を知り、
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明るい陽の光による、内面からこみあげる喜びに気付く。
 
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圧倒的な自然を前に、建築の印象は薄くなる。
建築はより透明な存在へ。
人の原始的な感覚を取り戻させてくれる、新鮮な体験。
 
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keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.4

ラグーンホテル Jetwing Lagoon

昨年に続き、二回目となるスリランカ・バワ建築を巡る旅。
 
成田から約9時間のフライトを経て、ようやくスリランカのコロンボ空港へ。
現地時間で19時すぎ。気温は27℃。少し汗ばむ。
 
初日は、空港からも比較的近いネゴンボにあるジェットウイング・ラグーンホテルへ。
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1966年竣工。
海水がはいりこみ湖のようになった潟(ラグーン)に面します。
スリランカ初の観光客向けリゾートといわれ、バワ初のホテル建築とされているよう。
老朽化によって一度閉鎖されていたが、2012年に改修工事によってリニューアルオープン。
 
バワオリジナルが残るのは数少ない箇所のみとなっているが、
その一つであるゲストルーム「バワルーム」に宿泊。
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天井の高い伸びやかなワンルーム。
ベッドルームの背が高い空間、というのはあまり経験がなかったけれど、思ったより悪くない。
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水回りは屋根がかかってあるが、オープンエアーのドラマティックなつくり。
思わず「うわぁ」と声をあげてしまう。
身も心もリラックスできるスペース。
 
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もちろん実測も行います。
ゲストルームの半分がオープンエアーの水回り。大胆。
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幅の広い、あいらしい形の椅子。
 
 
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いいなあと思った、レストランへのアプローチ部分。
プール脇の通路から潜り込むようにはいっていきます。
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見返りの様子。
この形式は韓国の古い寺院建築でみたものに近いなあと感じました。
階段を一段一段あがるたびに視界が開けてきて、なんとも言えない感動があります。
明暗の振れ幅が大きくて、向こう側への期待が高まるというか。
 
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ラグーンに開かれた気持ちの良いレストラン。
 
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100m!あるというプール。
ゲストルームやフォリーで囲まれた、ホテルの真ん中にあります。
 
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バワが好んだプルメリア。
白と黄色のグラデーションが綺麗。
良い天気。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.2

スリランカの旅を終えて

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ジェフリーバワの建築を巡る、スリランカの旅。
 
昨年の視察でみられなかった、いくつかの実作をみることができました。
また、建築と、気候や風土・歴史や現地に暮らす人々との関係を肌で感じるのも重要なポイント。
少しずつ、ですがまとめていこうと思います。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.2.27

再び、スリランカへ

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昨年に続いて、再びのスリランカの建築視察へ。
前回に見られなかったジェフリーバワの建築を求めて。
多くを学んできます。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.2.19

韓国 古建築を巡る旅3 浮石寺

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弾丸ツアーの最後は
韓国における最古の木造建築物のひとつとされている、浮石寺(ふせきじ、プソクサ)。
671年に建立された寺院で、現在の建物は1376年に再建されたと考えられています。
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ちょうどソウルと安東の間に位置し、
韓国の仏教は弾圧された歴史をもつため、こうした寺院は山深いところにしか残っていないそう。
 
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屏山書院とおなじように、建物の下に潜り込むようにアプローチしていきます。
階段をのぼって広場にでるたびに、次の建物が見えてくること3回。
そうしたシークエンスの豊かさからか、実際の移動距離以上の体感距離。
 
めくるめく変化。
ほの暗い床下と明るい広場、その先にみえる次の建物。
 
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建築だけで完結しない、そこにいたるアプローチと自然の豊かさと一体感。
韓国の古建築にみた興味深い部分。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.23

韓国 古建築を巡る旅2 屏山書院

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河回村と同じ安東にある、屏山書院。
今回の旅で最も良かった建築。
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1607年に霊廟としてつくられたものですが、
その後学校のような用途としても使われました。
南に川を臨み、北に山を背にする、背山臨水の立地環境は、韓国における風水思想の影響でしょうか。
 
 
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入り口の門を抜け建物の下に潜り込むようなアプローチには驚き。
ほの暗い建物下を歩くと、光の差す石階段。
トントンと上りきると明るい広場。
一歩一歩見え方が変化していく体験は気持ちの盛り上がりを感じます。
 
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潜り込むアプローチは見返しの際に目線から消えるために、穴のない包まれ感を生み出します。
それでも閉塞感がないのは、壁のない柱だけの建築の向こうに山並を見渡せるからか。
李朝の人々の描いた理想にふれた気がしました。
 
 
浮遊する、安定感のある建築。
頬に感じる、川からの気持ちの良い風。
四方を緩やかに囲う建築によってうまれる広場感。
自然に建築をあわせていくこと。
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keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.17

韓国 古建築を巡る旅1 北村宅

韓国の古建築をみてみたい。
 
半ば思いつきのような、それでいて運命的な引き合わせのなか
強行軍にて実現した今回の旅。
愛媛の工務店、造園家の有志4名を巻き込んでの実現となりました。
 
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ソウルから南東へ車で約4時間、河回村。
ユネスコの世界遺産に登録されている、李朝時代の姿を現代に残す村で
その中でも最も有名な韓屋のひとつである、北村宅への宿泊が叶いました。
 
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夏は35℃付近、冬には氷点下に達する厳しい気候の中で
涼しさと暖かさをどのように得ていたのか。
 
 
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まずは、涼の部分。
天井が高く開放的で、板の間で構成されており、
大きな開口部が設けられ風の抜けを重視しています。
カラッとした印象で、活動的な動の雰囲気。
 
 
 
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次に、暖の部分。
4畳半弱の部屋の連続で、天井・壁・床・建具に韓紙が隙間なくはりこめられます。
隙間風を塞ぎ、できるだけ密閉した空間をつくることを意図されたのだろう。
かまどの煙の熱を利用するオンドルという床暖房との相性も、板張より優れるそう。
天井高さ2,250㎜と押さえられた
まゆ玉の中のような親密な、静の雰囲気。
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床の紙は油のようなものに浸し、強化されています。
 
 
 
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それらの部屋は、隣り合わせの近い距離にあり
1日の時間の中でもあちらこちらへと居場所を移動しながらの暮らしだったのでしょう。
 
 
 
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中国の四合院の影響か、と頭をよぎる中庭型の構成。
絶妙なスケール感で、間の抜けていない落ち着き感。
 
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陰と陽。
静と動。
低い内法高とプロポーション。
絶妙の距離感。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.15

北欧建築の旅7 夏の家、まとめ

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1937年にストックホルム郊外に造られた、
アスプルンド自身の小さな夏の別荘である「夏の家」。
1940年、55才で亡くなった氏の作品としては晩年のものにあたる。
 
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接する道路からはしばらく歩いてアプローチするため
湖と森に囲まれた完全にプライベートな空間。
北側に森があって、南に湖がある敷地ということに
アスプルンドはこだわったんだそう。
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控えめな玄関。飛び石の様子は日本の影響とか。
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夏の短い地域。
陽の少ない、長く厳しい冬を過ぎた明るい夏を楽しむ家。
アスプルンドが完全に人目のない敷地にこだわったのかが分かります。
プライベートな外部を一つの部屋のように扱い
一転、内部空間は親密な空間が続きます。
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日中は外で日光浴や釣りなどを楽しみ
日除けのスペースとして、家族と静かな夜を過ごすスペースとして建築は考えられたのでしょう。
内外をつなげるため建物には五つもの出入り口が計画されています。
 
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プランの中で特筆すべきは部屋同士のつなげ方。
リビングと近接するダイニング、玄関脇のイージーチェア部分が
それぞれの家具の向きを変えながら、一同に目にはいってきます。
目線はあわないけれど、視界の中にははいる。
自分の時間を過ごしながらも共に過ごす一体感を感じる。
「とおくはなれてそばにいて」村上龍の著作でこのような題があったような。
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この旅の一番の心に残る
慎ましくも、親しみ深い小さな小屋のような建築。
 
 
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フィンランド、スウェーデンの北欧の旅を通じて
空のスケッチが多いことに気付きます。
淡く、美しいグラデーションを描く夏の空。
 
-20℃にもなる厳しい冬を越え
人との繋がりや交流の恋しさを爆発させるような夏の季節。
特にアアルトの建築には他の誰かといることが思い浮かぶものが多くて
人懐っこい人間性を勝手に想像してしまいます。
 
いろいろな手法は
いきいきとした人の生活と時間のために。
建築はある願いを込めた、それでいて大きな受け皿でありたい。
風土や人に寄り添う存在でありたい。
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当たり前のことを、ひたすら真摯に取り組む巨匠の姿を思い描いてしまう旅となりました。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.6.5
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