建築をまなぶ旅(海外)

ラグーンホテル Jetwing Lagoon

昨年に続き、二回目となるスリランカ・バワ建築を巡る旅。
 
成田から約9時間のフライトを経て、ようやくスリランカのコロンボ空港へ。
現地時間で19時すぎ。気温は27℃。少し汗ばむ。
 
初日は、空港からも比較的近いネゴンボにあるジェットウイング・ラグーンホテルへ。
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1966年竣工。
海水がはいりこみ湖のようになった潟(ラグーン)に面します。
スリランカ初の観光客向けリゾートといわれ、バワ初のホテル建築とされているよう。
老朽化によって一度閉鎖されていたが、2012年に改修工事によってリニューアルオープン。
 
バワオリジナルが残るのは数少ない箇所のみとなっているが、
その一つであるゲストルーム「バワルーム」に宿泊。
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天井の高い伸びやかなワンルーム。
ベッドルームの背が高い空間、というのはあまり経験がなかったけれど、思ったより悪くない。
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水回りは屋根がかかってあるが、オープンエアーのドラマティックなつくり。
思わず「うわぁ」と声をあげてしまう。
身も心もリラックスできるスペース。
 
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もちろん実測も行います。
ゲストルームの半分がオープンエアーの水回り。大胆。
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幅の広い、あいらしい形の椅子。
 
 
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いいなあと思った、レストランへのアプローチ部分。
プール脇の通路から潜り込むようにはいっていきます。
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見返りの様子。
この形式は韓国の古い寺院建築でみたものに近いなあと感じました。
階段を一段一段あがるたびに視界が開けてきて、なんとも言えない感動があります。
明暗の振れ幅が大きくて、向こう側への期待が高まるというか。
 
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ラグーンに開かれた気持ちの良いレストラン。
 
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100m!あるというプール。
ゲストルームやフォリーで囲まれた、ホテルの真ん中にあります。
 
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バワが好んだプルメリア。
白と黄色のグラデーションが綺麗。
良い天気。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.3.2

スリランカの旅を終えて

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ジェフリーバワの建築を巡る、スリランカの旅。
 
昨年の視察でみられなかった、いくつかの実作をみることができました。
また、建築と、気候や風土・歴史や現地に暮らす人々との関係を肌で感じるのも重要なポイント。
少しずつ、ですがまとめていこうと思います。
 
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.2.27

再び、スリランカへ

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昨年に続いて、再びのスリランカの建築視察へ。
前回に見られなかったジェフリーバワの建築を求めて。
多くを学んできます。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2017.2.19

韓国 古建築を巡る旅3 浮石寺

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弾丸ツアーの最後は
韓国における最古の木造建築物のひとつとされている、浮石寺(ふせきじ、プソクサ)。
671年に建立された寺院で、現在の建物は1376年に再建されたと考えられています。
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ちょうどソウルと安東の間に位置し、
韓国の仏教は弾圧された歴史をもつため、こうした寺院は山深いところにしか残っていないそう。
 
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屏山書院とおなじように、建物の下に潜り込むようにアプローチしていきます。
階段をのぼって広場にでるたびに、次の建物が見えてくること3回。
そうしたシークエンスの豊かさからか、実際の移動距離以上の体感距離。
 
めくるめく変化。
ほの暗い床下と明るい広場、その先にみえる次の建物。
 
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建築だけで完結しない、そこにいたるアプローチと自然の豊かさと一体感。
韓国の古建築にみた興味深い部分。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.23

韓国 古建築を巡る旅2 屏山書院

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河回村と同じ安東にある、屏山書院。
今回の旅で最も良かった建築。
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1607年に霊廟としてつくられたものですが、
その後学校のような用途としても使われました。
南に川を臨み、北に山を背にする、背山臨水の立地環境は、韓国における風水思想の影響でしょうか。
 
 
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入り口の門を抜け建物の下に潜り込むようなアプローチには驚き。
ほの暗い建物下を歩くと、光の差す石階段。
トントンと上りきると明るい広場。
一歩一歩見え方が変化していく体験は気持ちの盛り上がりを感じます。
 
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潜り込むアプローチは見返しの際に目線から消えるために、穴のない包まれ感を生み出します。
それでも閉塞感がないのは、壁のない柱だけの建築の向こうに山並を見渡せるからか。
李朝の人々の描いた理想にふれた気がしました。
 
 
浮遊する、安定感のある建築。
頬に感じる、川からの気持ちの良い風。
四方を緩やかに囲う建築によってうまれる広場感。
自然に建築をあわせていくこと。
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keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.17

韓国 古建築を巡る旅1 北村宅

韓国の古建築をみてみたい。
 
半ば思いつきのような、それでいて運命的な引き合わせのなか
強行軍にて実現した今回の旅。
愛媛の工務店、造園家の有志4名を巻き込んでの実現となりました。
 
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ソウルから南東へ車で約4時間、河回村。
ユネスコの世界遺産に登録されている、李朝時代の姿を現代に残す村で
その中でも最も有名な韓屋のひとつである、北村宅への宿泊が叶いました。
 
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夏は35℃付近、冬には氷点下に達する厳しい気候の中で
涼しさと暖かさをどのように得ていたのか。
 
 
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まずは、涼の部分。
天井が高く開放的で、板の間で構成されており、
大きな開口部が設けられ風の抜けを重視しています。
カラッとした印象で、活動的な動の雰囲気。
 
 
 
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次に、暖の部分。
4畳半弱の部屋の連続で、天井・壁・床・建具に韓紙が隙間なくはりこめられます。
隙間風を塞ぎ、できるだけ密閉した空間をつくることを意図されたのだろう。
かまどの煙の熱を利用するオンドルという床暖房との相性も、板張より優れるそう。
天井高さ2,250㎜と押さえられた
まゆ玉の中のような親密な、静の雰囲気。
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床の紙は油のようなものに浸し、強化されています。
 
 
 
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それらの部屋は、隣り合わせの近い距離にあり
1日の時間の中でもあちらこちらへと居場所を移動しながらの暮らしだったのでしょう。
 
 
 
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中国の四合院の影響か、と頭をよぎる中庭型の構成。
絶妙なスケール感で、間の抜けていない落ち着き感。
 
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陰と陽。
静と動。
低い内法高とプロポーション。
絶妙の距離感。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.10.15

北欧建築の旅7 夏の家、まとめ

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1937年にストックホルム郊外に造られた、
アスプルンド自身の小さな夏の別荘である「夏の家」。
1940年、55才で亡くなった氏の作品としては晩年のものにあたる。
 
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接する道路からはしばらく歩いてアプローチするため
湖と森に囲まれた完全にプライベートな空間。
北側に森があって、南に湖がある敷地ということに
アスプルンドはこだわったんだそう。
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控えめな玄関。飛び石の様子は日本の影響とか。
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夏の短い地域。
陽の少ない、長く厳しい冬を過ぎた明るい夏を楽しむ家。
アスプルンドが完全に人目のない敷地にこだわったのかが分かります。
プライベートな外部を一つの部屋のように扱い
一転、内部空間は親密な空間が続きます。
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日中は外で日光浴や釣りなどを楽しみ
日除けのスペースとして、家族と静かな夜を過ごすスペースとして建築は考えられたのでしょう。
内外をつなげるため建物には五つもの出入り口が計画されています。
 
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プランの中で特筆すべきは部屋同士のつなげ方。
リビングと近接するダイニング、玄関脇のイージーチェア部分が
それぞれの家具の向きを変えながら、一同に目にはいってきます。
目線はあわないけれど、視界の中にははいる。
自分の時間を過ごしながらも共に過ごす一体感を感じる。
「とおくはなれてそばにいて」村上龍の著作でこのような題があったような。
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この旅の一番の心に残る
慎ましくも、親しみ深い小さな小屋のような建築。
 
 
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フィンランド、スウェーデンの北欧の旅を通じて
空のスケッチが多いことに気付きます。
淡く、美しいグラデーションを描く夏の空。
 
-20℃にもなる厳しい冬を越え
人との繋がりや交流の恋しさを爆発させるような夏の季節。
特にアアルトの建築には他の誰かといることが思い浮かぶものが多くて
人懐っこい人間性を勝手に想像してしまいます。
 
いろいろな手法は
いきいきとした人の生活と時間のために。
建築はある願いを込めた、それでいて大きな受け皿でありたい。
風土や人に寄り添う存在でありたい。
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当たり前のことを、ひたすら真摯に取り組む巨匠の姿を思い描いてしまう旅となりました。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.6.5

北欧建築の旅6 森の墓地

フィンランドの西の古都トゥルクを後にして、向かうはバルト海の対岸にあるスウェーデンのストックホルムへ。
宿泊型のフェリーにて、半日の移動です。
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限られた面積の中で最大の客室数をとるため、ミニマムな個室。
普段の住宅の設計ではなかなかない寸法体系です。
洗面とトイレのシャワーが近接しているため、床のシャワーの水滴取り用のゴムベラが。
同一スペースを兼用する工夫ということですね。
 
 
ストックホルク入りの目的は、
エーリック・グンナール・アスプルンド(1885-1940)の建築を体験するため。
現在進めている寺院の設計の完了前に宗教観は違えど、アスプルンドの森の墓地をみてみたかった。
それ程に奥深さを感じてしまう建築だったのです。
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ストックホルム郊外の広大な敷地。
市の管理する墓地で、礼拝堂や火葬場などの一連の施設があります。
1918年からアスプルンドの最期まで続いた、文字通りのライフワークとなった仕事。
ちなみに、スウェーデンでは葬儀税(正式な呼び方でないです)なるものがあって
いかなる国民も等しく葬儀を行うことができるそう。
一連の施設は写真の丘の向こう側にあって、利用者は自分の足音をききながらそこに向かいます。
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アプローチの先に十字架がたてられ
十字架の道、と呼ばれます。
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全体のランドスケープは軸線を巧みに操作しながら
植栽を整然と並べてみたり、列植されてみたり
樹木の密度と光量によってシーンをつくっていることに気付きます。
 
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森の礼拝堂。
軒がとても低いので目線と軒の水平ラインが揃い
屋根の三角形が強調されます。
乱暴な意見ですが、個人的に堀部さんのつくった納骨堂のアプローチと重なって感じます。
入り口の門にはアスプルンドの記した衝撃的なメッセージ。
「今日は私、明日はあなた」
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大礼拝堂には大切な人をなくした家族へのやさしさが随所にみられます。
最も悲しみの深い喪主の席の前には、家庭的な雰囲気により気持ちを和らげるための絨毯のような彫刻。
亡き人のことを語らえるよう皆の顔が見えるよう角度をつけたベンチ。
水面に映り込む十字。
 
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美しい北欧の空を背景にみる計画の壮大さ。
樹木の密度によってシーンをつくる発想。
ここまでもか、と唸るほどの人の気持ちによりそう設計。
すさまじい水準の壮大さと繊細さの共存に、ただただ感動の連続であった。
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keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.5.29

北欧建築の旅5 復活の礼拝堂

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フィンランドの西の古都、トゥルクにある復活の礼拝堂。
1941年竣工、エリック・ブリュッグマン設計。
入った瞬間、神聖な空気が流れることを感じてしまう、特別な空間。
 
汎ヨーロッパ的な意味合いを持つ古典主義に対して、
民族や国家などのアイデンティティを重要視し、より地域性や固有の職人技術を主張する
ナショナルロマンティシズムの頂点にあると称される建築です。
 
片側から光が差し込む、非対称な空間の絶妙な明るさ感。
設計者自身も戦争により、友人を亡くした中での設計作業だったとのこと。
深い悲しみの上に、静かなる生きる力を
やさしくやさしく与えてくれるような柔らかさ。
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細部には丁寧な職人仕事。
つくる作業そのものが、亡き人への想いを込めるようなものだったのだろう。
 
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スケッチをしながら平面の微妙な変形に気付きます。
建築に込める哲学や想いを生み出す詩的思考と
それを表現する具体的な設計技術や寸法センス。
その両輪の実現により、人の心をつかむ建築となりうる。
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.5.26

北欧建築の旅4 ヴィラマイレア

建築家の斎藤裕さんの著作である「アールト10の住宅」の中でみたヴィラマイレア。
 
藤を丁寧に巻きつけた黒塗りの丸柱、階段のまわりにまるで木立のように林立する円形の格子、
森の中に差し込む白い外壁、黄金色の光で満たされる窓辺。
手持ちの本が付箋だらけになった今でも、自分にとって大切な一冊となっています。
 
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フィンランドの西海岸の港町ポリ近郊ののどかな風景が続くノールマルク村。
アアルト夫妻と親交の深かった、企業家ハリーとマイレ夫妻とその家族のためのもので
大きなマツの林の隙間を縫うようにあります。
1939年竣工、アアルト41才のとき。
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建物はL字型の構成でリビングなどの建物本体とサウナ小屋を半屋外テラスで緩やかに繋ぐ
ゆったりとした平面。
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テラス脇の暖炉。
階段と一体となっていておもしろい。
石垣の一部が暖炉で、気がつけば階段でもあった、という格好。
 
現在でも2階部分はプライベートユースで1階のみの開放。
あわせて内部の撮影はご遠慮くださいとのことですので、下手な文章とスケッチにて。
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玄関を入ってからの階段越しの中庭への眺めや、ずるずると続くリビングルームの景色は感動的です。
スケッチはリビングルームの様子。
天井の高さは均一に続く大きなワンルームなのに変化に富んだシーンが各部分に展開していきます。
なんとも言えないその開放感と浮遊感はなんなんだろう。
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腰壁の高さを家具と人の目線の高さを関連させながら変化させています。
絶妙の高さ加減。
 
「あ 」
本のなかでみた丸柱や丸型格子は
外部のマツ林を室内に引き込むように意図されたものと気付きます。
それは
つよく力のあるマツの林の中に、
アアルトの手によって調律された外のような内部にいる感じ。
景色としての外部ではない、内外が入り乱れた、ふわふわした不思議な感覚。
 
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アルヴァ アアルトの最高傑作と言われるこの住宅。
内部と外部をつなぐという大いなる矛盾と魅力を内包する建築。
なんとか自分の建築で整理してみたい。
建築の持つ奥の見えない可能性を感じられる忘れられない体験となりました。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.5.24
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