「冬至、冬中、冬始め」ということわざがあります。
暦の上では冬のまん中ですが、
本格的な寒さはまだこれから、という意味。
来るべき厳しい寒さに備えるために、
冬至に行われる風習はあるといえるかもしれません。
柚子湯は、ひび割れやあかぎれを治し
血行を促して冷えを緩和するんだとか。
冬至の日に入ると、風邪をひかずに冬を越せるとはよく聞く話。
なにより、気持ちのいい爽やかな香りが
心もリラックスさせてくれますものね。
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奥野 崇
冬の夜空を代表する星座といえば、オリオン座ではないでしょうか。
西洋ではギリシャ神話にでてくる狩人オリオンとして知られていますが
中国では白虎、インドでは鹿、とも見られているそう。
日本においては
外側の4つの明るい星が中ほどの3つの星を取り囲んでいる様子から
「鼓星(つづみぼし)」と呼びました。
星のそれぞれは
左上の赤く光る星ベテルギウスを「平家星」
右下の青白く輝くリゲルを「源氏星」と呼び、
平家の赤旗と、源氏の白旗に見立てたのです。
吐いた息をも白く光らせる冬の夜。
先人たちは、しんと静かな夜空の中に
ほんのかすかな鼓の音を聞いたのかもしれません。
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奥野 崇
同じ頃に、同じ場所で、同じ景色を。
変わったものと変わらないものを確かめるように。
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奥野 崇
「もみじ」は「揉み出(もみず)」が変化した言葉といわれています。
真水や灰汁に浸して鮮やかな色を揉み出す、紅花染めが由来のもの。
"赤葉"ではなく、"紅葉"という漢字が定着したのも自然な流れだったのかもしれません。
明治期に編纂された国語辞典の大言海には美しい言説があります。
色ハ揉ミテ出スモノ、又、揉ミ出ヅルモノ、
サレバ、露、霜ノタメニ モミイダサルルナリ
露や霜に洗われることによって
葉から鮮やかな紅や黄色が揉み出される、と考えたという語釈です。
古岩屋では、紅葉の終盤とのこと。
ひんやりと澄んだ山の空気。
揉み出された楓の葉色は、純一無雑なものに違いありません。
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奥野 崇
二十四節気の第十八。
朝晩の冷え込みがさらに増し、北国や里山では霜が降りはじめ、
少しずつ、冬の足音が聴こえはじめる頃。
事務所には素敵な新入りさんを迎えました。
日本のバラの代表的な原種である「ノイバラ」の大枝。
別名「野バラ」とも呼び親しまれています。
もともと有棘の低木類のバラのことを茨(イバラ)と呼んでいて
野生のものであるから、野茨(ノイバラ)となったもの。
10月も終わりに近づけば、実もしっかりと赤くなります。
秋が深まるころの愉しみのひとつ。
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奥野 崇
「秋の日は釣瓶落とし」
釣瓶(つるべ)が井戸にストンと落ちていくように
秋の日は、あっという間に日が沈むことを形容して使われます。
まだ明るいと思っていたのに、もう真っ暗なんてこともしばしば。
暮れの早さに、はっとしてしまう。。。
釣瓶が落ちていく速さには、
まだ心が追いついてないようです。
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奥野 崇
茹だるような暑さの日々も、今は懐かしく感じるほど。
随分と過ごしやすくなってきました。
暑さがおさまってくると、
なんだか空気が澄んで、引き締まったように感じます。
秋の気配と共に聴こえてくる物音を、
先人は「秋の声」と呼びました。
それらを「音」としてではなく、
命あるものの「声」として聴いたのです。
静かな朝、穏やかな風、揺れる葉先、赤い夕焼け、夜の虫のささやき。
積み重なる小さな変化とその声に、
心を澄まして向かい合ったのでしょう。
どこかもの寂しい夜の静けさが好きな季節です。
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奥野 崇
「行き合い」とは、出合いという意味。
空の上では、隣り合う季節が出合い、巡っていきます。
特に、夏から秋へ移り変わる空を「行き合いの空」と呼びます。
雲の形や高さ、空の色など、
その変化がわかりやすいため、でしょう。
暑く厳しかった夏の終わり。
思い出の数々と、終わりゆく夏へのさみしさ。
しみじみと季節の移ろいを思う情景も込められているように思います。
天井のステージで繰り広げられる、行き合いのドラマ。
物語は終盤に差し掛かってきたでしょうか。
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奥野 崇
けたたましいほどの蝉の声。
今日の松山は35℃。
突き抜ける、ゆらぐほどの暑さ。
現場での作業に勤しむ職人さんには、本当に頭が下がります。
強い陽射しに照らされた
生い茂った草むらの近くでは
むせかえるような熱気を感じることがあります。
これを「草熱れ(くさいきれ)」と呼びます。
炎天下では草の表面が
気温よりも5度ほど高くなってしまうそうで、
温度を下げようと、自ら大気中に水分を蒸発させはじめます。
それはまるで人がかく汗のよう。
厳しい夏空の下、
たとえ物は言わねど、じっと耐え凌んでいるのですね。
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奥野 崇
二十四節気では大暑の頃。
一年の中では、最も暑い時期ということです。
今年はといえば稀に見るほど梅雨明けが遅れており、
暦との齟齬を感じるところかもしれません。
今年は変則ながらも、子どもたちは夏休みへ。
夏の思い出の背景には、いつも青い空と入道雲があったような気がします。
地上からの強い上昇気流に乗って
ときには高さ15kmにも達する巨大な雲が
夏の強い日差しを受けて白く輝く様は勇壮そのもの。
地方によってはこの夏空に沸き立つ雲に
その地方名に「太郎」をつけた名前で呼ぶことも。
・坂東太郎(関東地方)
・信濃太郎(中部・北陸地方)
・丹波太郎(京阪地方)
・比古太郎(九州地方)
名前がつけられるほど、
皆に親しまれ、季節の象徴的な雲だったのですね。
一方俳句では、
入道雲のことを「雲の峰」とよび、夏の季語にもなっています。
特に知られる句としては、
"雲の峰 幾つ崩れて 月の山" 奥の細道(松尾芭蕉)
ではないでしょうか。
月の山とは出羽三山のひとつ、現在の山形県にある月山のこと。
月山は標高1981mと2000mにも満たないですが
豪雪地帯の山のため、
冬に降り積もった深い雪が夏になっても溶け残り、
ときに雪が山肌を覆う山だそう。
この句は元禄2年6月6日に詠まれたとされています。
現在の暦に直せば7月22日ですから、
平年なら梅雨明けの厳しい夏の日。
大暑の頃になっても、うっすら雪を残す白い月山と、
その山の上にそびえる、さらに白い雲の山。
陽光に輝く夏雲の姿を眺めて、この句を詠んだのかもしれません。
keep smiling!
奥野 崇