雲の峰

二十四節気では大暑の頃。

一年の中では、最も暑い時期ということです。

 

今年はといえば稀に見るほど梅雨明けが遅れており、

暦との齟齬を感じるところかもしれません。

今年は変則ながらも、子どもたちは夏休みへ。

夏の思い出の背景には、いつも青い空と入道雲があったような気がします。

 

地上からの強い上昇気流に乗って

ときには高さ15kmにも達する巨大な雲が

夏の強い日差しを受けて白く輝く様は勇壮そのもの。

 

地方によってはこの夏空に沸き立つ雲に

その地方名に「太郎」をつけた名前で呼ぶことも。

・坂東太郎(関東地方)

・信濃太郎(中部・北陸地方)

・丹波太郎(京阪地方)

・比古太郎(九州地方)

名前がつけられるほど、

皆に親しまれ、季節の象徴的な雲だったのですね。

 

 

 

一方俳句では、

入道雲のことを「雲の峰」とよび、夏の季語にもなっています。

特に知られる句としては、

 

"雲の峰 幾つ崩れて 月の山"  奥の細道(松尾芭蕉)

 

ではないでしょうか。

月の山とは出羽三山のひとつ、現在の山形県にある月山のこと。

月山は標高1981mと2000mにも満たないですが

豪雪地帯の山のため、

冬に降り積もった深い雪が夏になっても溶け残り、

ときに雪が山肌を覆う山だそう。

 

 

この句は元禄2年6月6日に詠まれたとされています。

現在の暦に直せば7月22日ですから、

平年なら梅雨明けの厳しい夏の日。

 

大暑の頃になっても、うっすら雪を残す白い月山と、

その山の上にそびえる、さらに白い雲の山。

陽光に輝く夏雲の姿を眺めて、この句を詠んだのかもしれません。

 

 

 

 

keep smiling!

奥野 崇

category : 季節手帖 | posted at 2020.7.25
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