1945年の終戦から27年後の1972年、沖縄は本土復帰を果たします。
73年のオイルショックを経て、75年には沖縄国際海洋博覧会が開催され、
観光、リゾート開発が活発化していく中で、同75年に完成したホテル。
それがムーンビーチホテルです。
設計は当時36歳の国場幸房さんをはじめ、国建のメンバー。なお、国建はこの事業の施主でもあります。
アメリカ軍のパイロットが空から偶然発見した三日月型のビーチを、
兄であり社長である国場幸一郎さんが購入したことから始まったそう。
激動・変革の中、
「これからの沖縄のリゾート施設の方向性を自分達がつくる」
との強い思いとエネルギーの中設計は進められた。
大きなガジュマルの木の下をイメージして、
日陰をつくり、風の通る、家族で楽しめる心地よい空間をつくろうと
当時は1階部分を開放されたピロティ空間であった、との記録を見ました。
(現在は店舗として使われており改変されています)
それって、すごい。驚きました。
ホテルの奥のほうにある古そうな部屋には、
客室入口の開き戸とは別に、風の通る鎧戸の備え付けがありました。
ここからは自分の勝手な想像も含みますが、
ドアを開けて、鎧戸をしめることで風が通り、プライバシーを守れるようにしていたのではないか。
ホテルって客室と廊下やロビーとは、プツっと切ってしまうもの。
ビーチに開放されたピロティーの風は、大きな吹き抜けから各客室まで抜けていたのでは。。。
全部がひとつながり。
温暖な沖縄ならではの、なんと大胆でおおらかであろうか。
「あらゆる常識を逸脱した方法を考え(中略)大きな空間と緑豊かな空間を実現に導くことができた」国場幸房氏
きっとそう。
keep smiling!
奥野 崇