人はおもったよりも
随分敏感で、繊細な感覚を持っています。
陽の傾きによる光量の変化、
肌をなでる微細な風のとおり、
香りや音の強弱やその距離感、
気温・湿度の移り変わり。
目に見えるものも、見えないものも。
それらは、分かつことなく居心地や安心感に作用しているのでしょう。
まさに日常の舞台となる、住まい。
なるべく穏やかで、
じんわり、滲み出てくるような空間がいいなあ。
一年を経た、氷見のパン工房にて。
日々の出来事を笑顔でお話しくださいました。
keep smiling!
奥野 崇
建築の正面性をあらわすのに"ファサード"という言葉があります。
約2500年前、ヨーロッパ建築史のはじまりである古代ギリシャにおいて、
その概念は生まれたといわれています。
パルテノンを代表とする神殿建築を前に、
人々に対して、その建築が正面からみて強く、全てわかるようにと考えられたものです。
僕は現代の住宅においてもなお、
"ファサード"という言葉がしばしば使われることへの違和感を感じていました。
正面、あるいは見えるところだけを体裁よくすれば良いものなのか。。。
来月竣工予定、今治の家の足場が取り払われました。
いわゆる裏手の様子ですが、素朴なその姿が気に入っています。
雨風をしのぎ、無理なく、整然たる佇まいにする事。
それだけで、その姿は十分安心に値する。
ひいては、かつての美しい町並みや集落はそうであったのだと思います。
keep smiling!
奥野 崇
現場へ向かう移動中。
ハッと、そのみなぎる生命力に思わずカメラをとりました。
松山と今治のちょうど間、玉川は昔から好きなところです。
毎日、日付がかわっても働いた20代。
山間を抜けた先にある風景が好きで
日曜になると、よくここで絵を描きました。
近所のおばあちゃんと仲良くさせてもらったのも、今はいい思い出。
いつかは水の側で暮らしたい、と心に決めています。
keep smiling!
奥野 崇
外壁の板張工事は、ほぼ完了。
目板打ちの大和張り、より一層の雨仕舞としました。
内部では、家の基礎体力ともいえる断熱・気密工事が進行中。
木材による気密シート押えは、
将来にわたる信頼性を担保しながら
外壁面において電気配線ルート確保の役割も担います。
コンセントの設置によって、断熱材が欠けてしまうことを防ぐ工夫です。
外皮平均熱貫流率(Ua値) : 0.40 W/㎡・K
静謐な空間をつくるため。
数値をひとつのものさしとして、
よき感覚へと導きたい。
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奥野 崇
全ての工程を終え、最終の確認へ。
環境、人、建築、庭、家具。
それらを仲良く調和させるということが、
設計なんだろうと思います。
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奥野 崇
宮島の対岸で進めてきた「大野妹背の家」へ。
建築検査機関の完了検査を無事終えました。
思えば、長期に渡る仕事となりました。
建築への造詣が深いご夫婦をはじめ、多くの工事関係者の方々。
松山に竣工建物の視察に来てくださったのも、昨日のことのよう。
たくさんの人の縁に恵まれました。
翌朝、
この地域の暮らしの音で目が覚めます。
舟のモーターの低い振動音、定期的に響く仕掛けを撒く音。
今日で一段落。
神の島の朝焼けを眺めながら、
その美しさに、少し淋しくもなりました。
keep smiling!
奥野 崇
建築の工事は一区切り。
棟梁の手仕事である籐巻の柱も、すっかり馴染んでいます。
内と外の境界部分である窓まわりは、
日射・光量・視線・透け具合を調整できるよう
納まりには心を砕きました。
引き続いては、選定した家具の搬入と、庭の工事となります。
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奥野 崇
来住町の家では、ロクロ抜きの丸柱へ籐巻きが始まっています。
棟梁の大工さんによるもので、
最後の締めにと、文字通り腰を据えて取り組んで下さいました。
籐(ラタン)はこのところよく使う好きな素材で、
多くは椅子や家具などに多く用いられているもの。
固い印象の建築が、どこか柔らかくなるような気がして、
人と建築の距離感がぐっと近しくなります。
木に纏わることだけが大工さんの仕事ではありません。
見えないところに込められた知恵と工夫。
できあがりの姿を、どうぞお楽しみに。
keep smiling!
奥野 崇
現場の工事も小休止。
無事、建築の引き渡しを終えました。
中庭に面する溜まりの空間には、造り付けのベンチソファを用意。
ほどよく調整された光の分量は、とても心地よくありました。
引き続いては、外まわりを整えます。
keep smiling!
奥野 崇