季節手帖

小暑

南楽園からは、古代蓮の開花の知らせが聞こえてきました。

二十四節気では小暑の頃。

「大暑来れる前なればなり」 暦便覧

本格的な暑さが到来する前段階、ということ。

小暑を迎えると、衣食住のあらゆるものが夏向きのものに変わっていきます。

 

 

また、七十二候で小暑の初候はその名もすばり

「温風至」(あつかぜいたる)

"温風"と聞くと、暖房器具などのそれを思い浮かべてしまいますが、

本来の"温風"とは、あたたかい南風のことを指しており、夏の季語にもなっています。

 

その"温風"も、梅雨の時期によって呼び方が変わります。

梅雨の初め頃は、黒南風(くろはえ)

ちょうど中頃は、荒南風(あらはえ)

終盤になる頃は、白南風(しろはえ)

各時期の雲の様子を色で表現したもので、漁師さん発祥の言葉ともいわれています。

 

 

梅雨の終盤は、特に豪雨になりやすい頃。

現在も九州を中心に予断を許さない状況です。

どうぞ皆様、最大限の警戒を。

 

 

 

keep smiling!

奥野 崇

category : 季節手帖 | posted at 2020.7.7

紫陽花

この季節の代名詞ともいえる、アジサイ。

私たちの事務所でも、小さくて控えめなヤマアジサイが満開をむかえています。

個人的には、ガクアジサイや、ヤマアジサイの可憐な姿に心惹かれます。

ガクアジサイは多くのアジサイの原種のもので、

日本の海岸付近に自生している、別名ハマアジサイ。

一方、ヤマアジサイは山中の沢付近によくみられ、別名サワアジサイとも。

いずれも山野の中ひっそりと咲くその姿に、魅力を感じずにはいられません。

 

アジサイの語源は、はっきりしていないようですが、

歴史を振り返って、その表記の多さに驚かされます。

古くは万葉集で詠まれた「味狭藍」「安治佐為」。

その後も「阿豆佐為」「集真藍」「安知佐井」「七変化」「八仙花」「四葩」などなど。

 

現在、最もよく使われる「紫陽花」という表記は、

平安時代に学者道順が、なんと他の花の漢名と間違えてあててしまったものなんだとか。。。

 

 

どんよりした梅雨曇と、しとしと降る雨の日々。

モノトーンの景色の中、その一隅を色彩豊かに明るくしてくれる姿は、

「紫陽花」という名がぴったり、と改めて思うのは私だけでしょうか。

 

 

 

keep smiling!

奥野 崇

category : 季節手帖 | posted at 2020.6.18

拝み虫

二十四節気での芒種の初候、

6月5日から9日頃を、蟷螂(かまきり)が生まれる時期として

蟷螂生(かまきりしょうず)と呼ばれます。

自然の中へ、と足を延ばした週末。

ふと木製ベンチの上に

黒い小さな、ちょうど蟻のような生き物を見つけました。

よく見るとそれは、

成虫と同じ形をした小さな小さな子蟷螂。

 

 

蟷螂(かまきり)といえば、

無謀にも強者へ立ち向かっていくたとえとして

「蟷螂(とうろう)の斧」ということわざがあるほど、日本ではポピュラーな存在。

 

一方で、鎌で獲物を狙う特徴的な姿が、

拝んでいるようにみえるので「拝み虫」という異名を持ちます。

ヨーロッパでもやはり、

その姿に祈りを連想したようで「祈り虫」とも「預言者」とも呼ばれるそう。

おもしろいですね。

 

 

子蟷螂はどうかといえば、、、

エイエイ、としっかりかわいらしく

拝んでいましたとも。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

 

category : 季節手帖 | posted at 2020.6.8
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