立礼茶室のある家、外壁の左官工事がはじまりました。
そとん壁で仕上げます。
天井の杉源平小幅板もきれい。
茶室では柱の木配りを。
実際に現場に建ててみて、木材の表情や寸法をみながら入れ替えたり、回転させたり。
茶室の奥に化粧垂木が覗きます。
ひとつひとつ積み上げてきた現場も佳境を迎えています。
keep smiling!
奥野 崇
さきの授賞式にあわせて、東京近辺をうろうろと。
乃木坂のギャラリー間で開催中「堀部安嗣展 建築の居場所」へ。
堀部さんの建築は
竹林寺納骨堂 / 高知 、 鎌倉山の集会場 / 神奈川 、 香川での講演会
にて見学や拝聴、お話しさせて頂きました。
心に響く言葉。
「今、建築が人びとのたくさんの希望や欲望を背負っている。
それによって、もともと建築がもっていた基本的な役割と佇まいが失われてきているように感じる。
私は建築が背負う重荷を少しずつ取り除いて、本来のシンプルな姿に戻してあげたい。
堀部 安嗣 2017年」
建築の根源的な意味を見つめ続け、素直に実践し続ける氏。
きっと、建築に感動し、憧れ、渇望し、愛しているのだろう。
徹頭徹尾取り組む姿に、勇気を頂いた気がしました。
続いて、新宿区中井にある林芙美子邸へ。
「放浪記」などで知られる昭和の小説家の自邸です。
設計は山口文象の手によるものですが、建築にあたり林芙美子本人もかなり勉強したよう。
山口による繊細な数寄屋風テイストと、
林による普段使いの民家風テイストが混ざり合う、
こじんまりとした、親しみ深い建築となっています。
派手さはないですが、見るほどに いいなあ と思う住宅。
keep smiling!
奥野 崇
「土間サロンのある家」(松山市余戸)が
第5回チルチンびと住宅建築賞の
45才以下若手建築家部門にて、優秀賞を頂きました。
昨年の「五つ庭の平屋の家」に続いての受賞で、喜びも一入。
最後になりましたが、
この結果は、建主さん・窪田棟梁をはじめ、
工事関係者の皆様との信頼関係のなかで生まれたものだと思っております。
良い現場を体験させて頂き、ありがとうございました。
keep smiling!
奥野 崇
スリランカでのスケッチ。
現地で描き、色付けしたもの。
忘れたくないその瞬間を描きとめること。
今いるこの空間を俯瞰すること。
バワのつくった空間を体験して思う。
まだ見ぬ特別、があったのだと。
建築のもちうる力はまだまだ奥が深く
こんなにも愉しみにあふれたものなのだ、と改めて思う。
許されるならば、もっともっとおおらかに泳いでみたい。
keep smiling!
奥野 崇
1962年竣工。主としては、バワの初期のパートナーであるウルリック・プレスナーの設計。
スリランカの高原地域として知られるヌワラエリヤやエッラに近いあたり、バンダラウェラにあります。
セイロンティーの中でも代表格のウバ紅茶の産地として知られるあたり。
周辺はのどかで牧歌的な風景。町というよりは、村といった雰囲気。
質素で禁欲的な印象をもちます。
あえて、というよりは、
周辺でとれる限られた建築資材のみでつくられているからかもしれません。
派手さはありませんが、一歩入った瞬間から息をのむよう。
いい建築というのは理屈抜きに心に訴えるものがあります。
祭壇の上部にはトップライト。
石積みの表情をかえることで陰影がつくられます。
一見、開口がないようにみえる石積み壁部分にも通風を得る工夫が。
構造も担うアーチ状の外壁と少しずらして、手すり壁が立ち上がります。
その隙間を風通しのスリットとして利用。反射光はほのかに石積み壁を照らします。
建物の柱を利用した十字架のモチーフがみてとれます。
強烈な植物の力を感じるスリランカですが、建物周辺はなんだか優しく感じます。
小さな村にある、小さな教会。
それは、人々に愛されながら、慎ましくありました。
シンプルな中にも、味わい深い建築はつくることができる。
「たくさん」は、いらないのかもしれません。
にっこり笑うシスターの表情が印象的でした。
keep smiling!
奥野 崇
バワの絶作となったこの建築。ラストハウス。
完成を見ることなく、バワは2003年にこの世をさります。
スリランカの南の沿岸地域、タンガッラの海辺。
現在も小規模なヴィラとして利用されていますが、道路への看板やサインはひとつもありません。
車一台分が精一杯の小道のその先にひっそりと佇みます。知る人ぞ知る、といった感じ。
道路側からは開口がひとつあるだけ。
バワの建築言語のひとつ、潜り込む、がここでも。
規模は違えど、アプローチの仕方はベントタのビーチホテルにとても似ています。
階段を上りきると、薄暗い回廊と、明るいプール付きの中庭。
コの字型に建物は配置され、
道路側とはレベル差によってプライバシーを確保するという上手い処理。
共用部分の開放的なアウトドアリビング
ほどよい光量と、白のインテリアが映えるインナーリビング。
目の前にはインド洋。それでも直接ビーチではないので落ち着きがあります。
確かに、宿泊していたヨーロピアンも年齢層は高めでした。
木漏れ日と重層する外部空間の連なり。
各ゲストルームにも見とれてしまうほどの綺麗な光が。
水回りの魅力はため息がでるほど。
小規模な建築ではあるが、つめこまれたたくさんの魅力的な空間の数々。
バワ自身がその場を歩きながら設計したような建築。
彼の目線の動きを追走してしまう、パーソナルな空間に彼の集大成をみた気がしました。
keep smiling!
奥野 崇
スリランカの中央付近、ダンブッラのほど近く。
かつて農業用水の確保のためにつくられた、人造湖であるカンダラマ湖。
そのほとり。
言わずもがなバワの最も有名な建築のひとつ、カンダラマホテル。
圧倒的な存在感を持つ熱帯植物に、とりこまれることを許容する建築。
自然と一体、などという月並の表現では足らず
自然に飲み込まれるのを待っているようにも思える。
開放的なラウンジや、
ラキ氏による彫刻がシンボリックなレストランへの階段。
昨年に続いての訪問だったからか
ゲストルームをアップグレードしてくださいました。
全体のアウトラインはシンプルながらも
引き戸の処理や、見え方や見える範囲の細々した調整で
豊富な空間体験がつめこまれているのがバワの特徴と思います。
二度目の滞在となった今回。
特に感じたのは、自然の移ろい。
大地の明るさによって、時間流れに気づき
当たり前のように訪れる、1日の終わり。
その濃度により新たな今日の日を知り、
明るい陽の光による、内面からこみあげる喜びに気付く。
圧倒的な自然を前に、建築の印象は薄くなる。
建築はより透明な存在へ。
人の原始的な感覚を取り戻させてくれる、新鮮な体験。
keep smiling!
奥野 崇
昨年に続き、二回目となるスリランカ・バワ建築を巡る旅。
成田から約9時間のフライトを経て、ようやくスリランカのコロンボ空港へ。
現地時間で19時すぎ。気温は27℃。少し汗ばむ。
初日は、空港からも比較的近いネゴンボにあるジェットウイング・ラグーンホテルへ。
1966年竣工。
海水がはいりこみ湖のようになった潟(ラグーン)に面します。
スリランカ初の観光客向けリゾートといわれ、バワ初のホテル建築とされているよう。
老朽化によって一度閉鎖されていたが、2012年に改修工事によってリニューアルオープン。
バワオリジナルが残るのは数少ない箇所のみとなっているが、
その一つであるゲストルーム「バワルーム」に宿泊。
天井の高い伸びやかなワンルーム。
ベッドルームの背が高い空間、というのはあまり経験がなかったけれど、思ったより悪くない。
水回りは屋根がかかってあるが、オープンエアーのドラマティックなつくり。
思わず「うわぁ」と声をあげてしまう。
身も心もリラックスできるスペース。
もちろん実測も行います。
ゲストルームの半分がオープンエアーの水回り。大胆。
幅の広い、あいらしい形の椅子。
いいなあと思った、レストランへのアプローチ部分。
プール脇の通路から潜り込むようにはいっていきます。
見返りの様子。
この形式は韓国の古い寺院建築でみたものに近いなあと感じました。
階段を一段一段あがるたびに視界が開けてきて、なんとも言えない感動があります。
明暗の振れ幅が大きくて、向こう側への期待が高まるというか。
ラグーンに開かれた気持ちの良いレストラン。
100m!あるというプール。
ゲストルームやフォリーで囲まれた、ホテルの真ん中にあります。
バワが好んだプルメリア。
白と黄色のグラデーションが綺麗。
良い天気。
keep smiling!
奥野 崇
ジェフリーバワの建築を巡る、スリランカの旅。
昨年の視察でみられなかった、いくつかの実作をみることができました。
また、建築と、気候や風土・歴史や現地に暮らす人々との関係を肌で感じるのも重要なポイント。
少しずつ、ですがまとめていこうと思います。
keep smiling!
奥野 崇