月末の建方へ向けて、化粧材の確認と番付へ。
松山市内で木造のクリニックをつくります。
番付とは、どの木材をどの場所に使うのかを割り振る作業。
木材は工業製品のように均一ではありません。
それぞれが異なる表情を持っていますので
より活きるように皆で思案する。
良質な地のものを使える幸せを感じながら、
木が育った年数をこえてなお
使い続けられる建築をつくらなければ、と改めて思います。
keep smiling!
奥野 崇
茹だるような暑さの日々も、今は懐かしく感じるほど。
随分と過ごしやすくなってきました。
暑さがおさまってくると、
なんだか空気が澄んで、引き締まったように感じます。
秋の気配と共に聴こえてくる物音を、
先人は「秋の声」と呼びました。
それらを「音」としてではなく、
命あるものの「声」として聴いたのです。
静かな朝、穏やかな風、揺れる葉先、赤い夕焼け、夜の虫のささやき。
積み重なる小さな変化とその声に、
心を澄まして向かい合ったのでしょう。
どこかもの寂しい夜の静けさが好きな季節です。
keep smiling!
奥野 崇
西条・飯岡の家
棟上の日を迎えました。
田園の中の平屋の住まいです。
シンプルで、品のある佇まいを目指したい。
keep smiling!
奥野 崇
「行き合い」とは、出合いという意味。
空の上では、隣り合う季節が出合い、巡っていきます。
特に、夏から秋へ移り変わる空を「行き合いの空」と呼びます。
雲の形や高さ、空の色など、
その変化がわかりやすいため、でしょう。
暑く厳しかった夏の終わり。
思い出の数々と、終わりゆく夏へのさみしさ。
しみじみと季節の移ろいを思う情景も込められているように思います。
天井のステージで繰り広げられる、行き合いのドラマ。
物語は終盤に差し掛かってきたでしょうか。
keep smiling!
奥野 崇
引き渡しから半年ぶりに、大野妹背の家へ。
広島県の廿日市市にあります。
庭工事も一段落し、
少しずつ落ち着いてきたところ。
当初のガランとしていた空間からは見違えるほどに。
秋口には撮影が叶いましょうか。
keep smiling!
奥野 崇
NHKの"DESIGN TALKS PLUS"という番組にて
「多度津の茶室」がイメージ写真として使用されています。
銀座の森岡書店さんを取り上げる項にて使用したいと、
番組スタッフの方からお声掛け頂きました。
コロナ禍の影響により
日本向けの放送は休止中ですが、海外向けの放送は継続しているとのこと。
下記リンク先からオンデマンドでも視聴可能です。
けたたましいほどの蝉の声。
今日の松山は35℃。
突き抜ける、ゆらぐほどの暑さ。
現場での作業に勤しむ職人さんには、本当に頭が下がります。
強い陽射しに照らされた
生い茂った草むらの近くでは
むせかえるような熱気を感じることがあります。
これを「草熱れ(くさいきれ)」と呼びます。
炎天下では草の表面が
気温よりも5度ほど高くなってしまうそうで、
温度を下げようと、自ら大気中に水分を蒸発させはじめます。
それはまるで人がかく汗のよう。
厳しい夏空の下、
たとえ物は言わねど、じっと耐え凌んでいるのですね。
keep smiling!
奥野 崇
庵治半島の東側にそれはあります。
彫刻家である流政之氏の製作拠点のひとつであったアトリエを
没後、美術館として公開されたのが2019年のこと。
氏の作品展示はもちろん、
1966年の庵治アトリエ設立から、50年をかけて増築・改築を繰り返した建築や庭園も大きな見所です。
敷地面積は約5,900坪、建物面積は約120坪。
ジャングルのような広大な敷地を、徐々に徐々に開拓していったのだそう。
「初日はまずブルドーザーをレンタルしてね、、、」
と、エピソードをお話ししてくださったのは
当初から亡くなるまでの製作メンバーだった、ヒデさん。
作品製作と並行して、常にどこかは工事中で、
ふと思いついては、こうしよう。ああしよう。の繰り返しだったそう。
壁を建てては壊す、を繰り返したのは
メキシコの建築家、ルイス・バラガン晩年のエピソード。
頭をよぎりました。
どこかアジア的でもあり、どこか欧米的でもあり。
多種多様なものが混在する、独特な空気感。
「作品に直接ふれてみてください」
彫刻は見るものでもあり、感じるものでもある、とのこと。
彫刻・建物・庭園・風景・自然・人
全てが平等でフラットな関係。
流氏と彼を支えたメンバーの生きた足跡を辿るような体験でした。
keep smiling!
奥野 崇
一段落をむかえた工事と、これから始まる工事と。
今治・高橋の家
建築の引き渡しを終え、続いては外構工事へ。
既に打ち合わせ・選定を終えている、
置き家具やウインドウトリートメントも設置を待つのみ。
西条・飯岡の家
造成を終え、建築の工事が始まりました。
おおらかな周辺環境のなかに平屋の建物をつくります。
今治・玉川の家
年始の地鎮祭後、諸事情により着工を見合わせておりましたが、
万事整い、基礎工事の開始となりました。
松山・藤原町のクリニック
地鎮祭を終え、8月下旬の工事開始を待ちます。
患者さんが安心できる、やさしい木造のクリニックを目指します。
keep smiling!
奥野 崇
二十四節気では大暑の頃。
一年の中では、最も暑い時期ということです。
今年はといえば稀に見るほど梅雨明けが遅れており、
暦との齟齬を感じるところかもしれません。
今年は変則ながらも、子どもたちは夏休みへ。
夏の思い出の背景には、いつも青い空と入道雲があったような気がします。
地上からの強い上昇気流に乗って
ときには高さ15kmにも達する巨大な雲が
夏の強い日差しを受けて白く輝く様は勇壮そのもの。
地方によってはこの夏空に沸き立つ雲に
その地方名に「太郎」をつけた名前で呼ぶことも。
・坂東太郎(関東地方)
・信濃太郎(中部・北陸地方)
・丹波太郎(京阪地方)
・比古太郎(九州地方)
名前がつけられるほど、
皆に親しまれ、季節の象徴的な雲だったのですね。
一方俳句では、
入道雲のことを「雲の峰」とよび、夏の季語にもなっています。
特に知られる句としては、
"雲の峰 幾つ崩れて 月の山" 奥の細道(松尾芭蕉)
ではないでしょうか。
月の山とは出羽三山のひとつ、現在の山形県にある月山のこと。
月山は標高1981mと2000mにも満たないですが
豪雪地帯の山のため、
冬に降り積もった深い雪が夏になっても溶け残り、
ときに雪が山肌を覆う山だそう。
この句は元禄2年6月6日に詠まれたとされています。
現在の暦に直せば7月22日ですから、
平年なら梅雨明けの厳しい夏の日。
大暑の頃になっても、うっすら雪を残す白い月山と、
その山の上にそびえる、さらに白い雲の山。
陽光に輝く夏雲の姿を眺めて、この句を詠んだのかもしれません。
keep smiling!
奥野 崇