インド洋のまち、ベントータへ。
バワの初期の作品である、ベントータ・ビーチ・ホテル。1969年竣工。
ただし、現在の姿は増築や改修が加えられ、オリジナルとは少し違います。
当初のデザインは中庭に水盤を抱く、こじんまりと落ち着いた様子だったそう。
しかしながら、スリランカの歴史をヒントにバワのデザインはみてとれます。
エントランスの色鮮やかな天井。
実は、これ
カンダラマホテルのあるダンブッラの世界遺産、
スリランカの人なら誰もが知る歴史ある寺院、石窟寺院の天井画のオマージュ。
仏像の天井に描かれた天井画をヒントに、バワはエントランスのデザインを決定しました。
海外の人も多く訪れるホテル建築。
そこへスリランカを象徴するデザインを取り込むこと。
建築にメッセージを込めること。
レストランには、デフォルメしたデザインへと繋がっていきます。
中庭の水盤をみる回廊に設けられた、居場所。
ここでもたまりの設計は流石の一言。
直線的な構成のなかに、斜めの使い方が巧く絶妙の落ち着き感をつくります。
そこに座って中庭を眺めたスケッチは右側のもの。
左は回廊部分の断面。高さ寸法がミソと思います。
張り出した建物の角度はモンスーンで吹き荒れる降雨の雨降線から導かれたもの。
階段の納め方もおもしろい。
階段部分は穴倉のような柔らかいデザインが多く採用されています。
遠藤新のつくった武庫川女子大学の階段と似ていた記憶があります。
飽きさせない移動空間の演出。
続いては、同じくベントータにある隣あわせのクラブ・ヴィラ、ザ・ヴィラへ。
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奥野 崇
スリランカ最後の王国があった山間部のまち、キャンディ。
1815年からスリランカは全土をイギリスの植民地として、1948年の独立まで歩んでいきます。
周囲を山々に囲まれたまち。
八幡浜の山側の風景に重なったのは、個人的なものでしょうか。
キャンディにはバワ作品はありませんが
スリランカの重要な施設、佛歯寺が。釈迦の犬歯が納められています。
宿泊先はコロニアル様式の美しい、クイーンズホテル。
佛歯寺のすぐ前にあります。
タイムスリップしたような趣きある客室。
天井が高い。
バワも生前、このホテルを利用したそう。
右にかいてあるのは、佛歯寺の犬歯を納める容れ物。
運良く拝見できました。
アジア特有のパワーみなぎる、まちの様子。
外国人は少なく、現地のマーケットへ。
野菜、ヤシの実、南国のフルーツ、米の計り売り、食肉売り場、犬の多さに圧倒されました。
続いて、バワによるホテル建築が残るインド洋沿岸部へ。
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奥野 崇
マンゴーのような形をしたスリランカの中央の少し北にあるダンブッラの町。
そこからポツポツと民家が続く、そのまた奥に
バワ特集の表紙を飾ってきたカンダラマホテルはあります。
その姿は、熱帯のうごめく緑に取り込まれるよう。
建物と自然との境界線はなくまさに一体といったところか。
バワ本人は、50年後には野生動物の住処になればよい。と力説したとのこと。
周辺の緑のなかを空中散歩するかのような客室廊下部分。
レストランも自然と一体にあるように。
フチのないインフィニティプールはバワの発明と言われています。
いつか誌面でみた、岩が剥き出しのエントランス部分。
集光の強い光が陰影を際立たせます。
外の力強い自然に対しての配慮か、客室内部はいたってシンプル。
ファブリックの使い方、照明のディティールなどバワらしさ、が垣間みえます。
建物と自然が一体となったヴィジュアルがあまりに印象的だが、
体験してみて思ったのは、あちらこちらに居場所をつくるバワの巧さ。
客室を片廊下型の廊下で接続しているため
その廊下部分は単なる移動スペースとして単調になりがち。
バワは客室を一定数のユニットにわけてその隙間部分に
湖が見えるスペースや、岩肌を望むスペースなどそこそこに落ち着いたたまりをつくる。
自然を愉しむ処をいくつも用意してあって、
次は何、とわくわくする。飽きさせない。
うろうろ、うろうろしてしまいました。
一見マクロに建物の姿を設計しながらも、ミクロの部分が魅力的な建築。
いいなあ。
余談ですが。
ロビーにあるふくろうの彫刻はあまりに有名で
バワとの建築においてもアートにおいても、協働関係にあったラキ・セナナヤケの作。
そのラキさんはカンダラマ近くにお住まいとのことで、お会いできました。
自然のなかに悠々自適に暮らされていました。
ここにもふくろうが。(現地の言語であるシンハラ語ではバッサというそう)
好き、なんだそう。
感動のバワ建築の初対面の興奮さめないまま、
古都キャンディへ。
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奥野 崇
先週はスリランカへ、ジェフリー バワの建築を巡る旅に。
※写真は住宅作品No.87の庭園。
スリランカの気候風土に根ざした
内部空間としての建築と
外部空間としての環境とを一体的に設計する氏。
空間体験をもとに綴ってまいります。
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奥野 崇
チルチンびと住宅建築賞の授賞式で
神保町の風土社さんへ。
5つ庭の平屋の家にて、
45才以下建築家部門の最優秀賞を頂きました。
泉先生をはじめ審査員の諸先生方とお話しすることができ
全国の同世代で木造に取り組む設計者との出会いもあり、
大変に刺激になりました。
3月11日発売の「チルチンびと」にて
写真や講評が掲載されています。
見かけましたら、手にとってやってくださいませ。
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奥野 崇
気持ちの良い青空の下、
会津町の家の地鎮祭。
リビング、ダイニング、キッチンの主な居室でL字に庭を囲みます。
隣地にあるご実家との繋がりも計画の要点となりました。
秋祭りの時期の竣工を目指します。
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奥野 崇
「余戸の家」
建築工事を終えて、造園工事中で
中庭部分の植え込みが始まっています。
土を原材料とする版築壁が目をひきます。
創造園、越智さんの仕事。
時が経てば苔むした姿になろうかと。
「柊の家」
座敷廻りの造作がはじまりました。
50ヶ所を超える内外木製建具全ての木枠図をかきましたが、
和室廻りはまた特別。
慎重な寸法設定、納まりが必要。
伝統にならいながら、現代の使いやすさ、美しさを。
「きぬぼし歯科」
今治にて4月の開院を控え、現場は進みます。
地域に愛される、やさしい存在になる。
建築はもちろん、サイン、Webデザインも一体に進行中。
「某寺院施設新築工事」
こちらも今治市内の寺院の施設工事。
比較的高層な建築となるため、ボーリングでの地盤調査。
結果地盤は良好で、十分な地耐力が確認できました。
とても静かなところで、気持ちが静まります。
心の拠り所となる建築を目指して。
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奥野 崇
「ECO LIVING JAPAN」に長浜の家が掲載されています。
日本のサスティナブル住宅の19例を紹介する作品集。
長浜の家、は10ページにわたり解説されています。(英文表記)
見かけましたら手にとってやってくださいませ。
2016年2月9日発売
amazon 「ECO LIVING JAPAN」
TUTTLE publishing出版
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奥野 崇
ぐっと気温が下がりました。
柊の家では、セルロースファイバー断熱材施工のはじまり。
断熱、吸音、調湿に優れた断熱材で、環境負荷の低減にもつながります。
内部シート貼りを経て、吹き込みとなります。
一方、大工さんの枠材加工も進みます。
外部木枠も多いため、
雨仕舞や納まりについて、原寸図にて詳細な打ち合わせを重ねました。
同時に組みあがる枠材を現場でみながら、
寸法の気持ちよさ、を改めて心に問うてみる。
丈夫さ、と美しさ、は不可分であると思います。
現場監督の車の荷台に乗ってやってきた、小さな応援団。
みんなの笑顔も運んできてくれました。
keep smiling!
奥野 崇