京都祇園、
総合芸術空間「T.T」にて文月の席。
故 髙橋大雅さんの美意識に浸る午後。
奥野 崇
以下、立礼茶室「然美」のHPより転載
さび。
時の移ろいとともに、
うつくしく変化すること。
枯れて風情が出る。古びて趣が出る。
朽ちていく様子と、豊かで華麗な様子の
相反する要素が交わりながら
内面の奥底にひそむ本質が
時間の経過とともに外へと滲み出る。
日本美術の起源である「不完全の美、不均衡の美」
茶碗の名品や名茶室の柱などは、
微妙に仄かに歪んでおり、
その膚はガラス板のように滑らかではなく
「さび」に覆われている。
現在、多くのクライアントから設計のご依頼を頂いており
複数のプロジェクトが進行しております。
(住宅、茶室、医療施設、宿泊施設、寺院、アトリエ、オフィス)
お急ぎでの計画進行をお考えの場合、
ご要望にお応えすることができない恐れがございます。
自分たちの目の届く範囲内で
一邸、一邸しっかりと設計作業をしていきたい、と
少人数で運営している事務所であります。
つきましては、ご相談から設計開始の間までに
少しお待ち頂くようお願いする場合がございます。
誠に勝手ではありますが、
ご理解いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
奥野崇 建築設計事務所
代表 奥野 崇
海と空の境界線がきえてつながる。
島の多い瀬戸内海ではめずらしい景色。
松山市内での新たなプロジェクト。
住まいとオフィスを整えます。
奥野 崇
枕草子の冒頭にて
"夏は夜。月のころはさらなり、やみもなほ、ほたるおほく飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。"
と、夏の最もすばらしい時間帯は夜である、と清少納言は綴っています。
ちょうど今は、一年の中でもっとも日が長く、夜が短いころ。
冬とくらべれば、およそ5時間もの差があります。
夏至 (6月21日)
昼の時間:14時間26分 (日の出:04時58分)
夜の時間:09時間24分 (日の入:19時24分)
冬至 (12月21日)
昼の時間:09時間54分 (日の出:07時11分)
夜の時間:14時間06分 (日の入:17時05分)
その短さを惜しむ気持ちから、
夏の夜を呼んだのが「短夜(みじかよ)」という季語です。
一方で、言葉がうまれた背景には、
明けやすさを恨む、男女の後朝の情もそこに重ねられたのだとか。
たしかに「古今集」や「新古今集」にも、
夏の夜の短さをかこつ歌が多く見られます。
実時間をさらに短く感じさせるような
互いを想いあう儚い気持ちが
「短夜(みじかよ)」という季語には込められている。
なんと切なく、哀調を帯びた言葉でしょう。
奥野 崇
6月16日は、お菓子をいただき厄除と招福を願う
嘉祥(かじょう)という行事がありました。
起源は848年(嘉祥元年)の夏のこと。
時の仁明天皇がご神託を受けられ、
6月16日にお菓子や餅などを神前にお供えされたことが由来なんだそう。
鎌倉、室町時代と嘉祥の日は引き継がれ
江戸時代においては幕府のなかで盛大に執り行われました。
将軍から諸士に下賜するとても重要な儀式で
お菓子は、白木の片木板の上に並べられ
そこには「清浄なもの」という意味が込められています。
梅雨時期の疲れがちな日々に、ほうっと一息。
先人たちの営為に想いを馳せ
甘いお菓子と、渋いめのお茶はいかがでしょう。
奥野 崇
ご親族、工事関係者が集まった上棟式。
凛とした、よき祀り事となりました。
茶室のある家、高松市内での工事となります。
規模が大きい上に、密度の高い造りこみ。
勝負の木工事が始まります。
奥野 崇
旧暦6月は、木々の葉が青々と生い茂る季節であることから、
水無月に青を加えた、青水無月(あおみなづき)という異名もありました。
梅雨入りした四国地方は、雨の日が続いています。
強すぎるのは困りものですが、雨は鬱陶しいばかりではありません。
葉の上でひかる雨粒。
草花ごとに水の拡がりや、宿る雨粒の輝きも異なり、
それはそれは美しいものです。
瑞々しい青の季節。
雨の日ならではの喜びを見つけて、生活を潤してみるのもいいかもしれません。
奥野 崇
香川・岡山・広島・大三島をめぐる出張から戻って一息。
庭の蛍袋(ホタルブクロ)が咲き始めています。
その名前は、袋のような花の中に、子供たちがホタルをいれて遊んだことが由来なんだとか。
蛍が舞う季節。
事務所の庭先にも数匹が連れ立って遊びにきてくれました。
庭の水辺に居着いてくれればいいのに。。。
奥野 崇
旧暦五月の異称、菖蒲月(あやめづき)。
事務所の庭にある野あやめは、鮮やかな姿を見せてくれました。
あやめは「文目」とも書き、物事の筋道や分別を指す場合にも使う言葉です。
"ほととぎす なくや五月の あやめ草 あやめもしらぬ 恋もするかな" 『古今和歌集』
昔から五月を代表する花として、人々と共にあったのですね。
奥野 崇
二十四節気のひとつ、穀雨の頃となりました。
この穀雨とは、"百穀を潤す春に降る雨"という意味の百穀春雨からきています。
この時期の雨は、穀物が健やかに生育するために欠かすことのできない、まさに恵みの雨なのです。
人の営為と自然が調和をなす里山地域で、
暮らすように働くをテーマに、築35年の民家をリノベーションした私たちのオフィス。
多くの歩き遍路さんを見送りながら、移転からはや一年を迎えました。
この度、オフィスに併設したギャラリースペースにて、月一回日曜にだけ開店する、「穀雨」と名付けた喫茶をはじめます。
土地に敬意をはらい、慈しむこと。
それらをしずかに包み込む、空間と時間をしつらえること。
住まいの空間づくりに関わってきた私たちが提案する、お茶と野菓子、季節と自然をゆっくり愉しむところです。
※しばらくは不定期での開店となります。日程は上記SNSのみでお知らせ致します。
※使用する水は、当日の朝汲み上げた湧水です。鉄瓶で沸かすその音も良いものです。時間には余裕をもってお越しくださいませ。
※当面は、日本茶と季節の野菓子のセットのみとなります。
拙いながらも、私たちの美意識と価値観を表現する場所になればなと。
里山の移り行く季節・自然の中、お待ちしております。
奥野 崇