少し前のことですが。
手嶋保さんの設計された三秋ホールにて。
とつとつと語る、飾らない氏の人柄。
つくる建築のにじみでる気配との一致をみたよう。
煎じ詰める、という言葉が印象的だった。
keep smiling!
奥野 崇
週末は松山市東野にて、立礼茶室のある家、の棟上げ。
神事にはたくさんのご親族が参列くださり、
建主さんの人望の厚さとご家族の繋がりの強さを感じるものに。
すごいなあ、と感じるのと同時に、気が引き締まる思い。
施工は内子の西渕工務店さん。
柊の家でもお世話になりました、現場監督の竹本さんと藤原棟梁(写真手前)のコンビ。
続いてのお餅まき。
曇り空の中でしたが、多くのご近所の皆様にお集まり頂きました。
皆様の笑顔が印象的。
週が変わって今日はいい天気。
化粧垂木の表情も美しい。
さあさあ、これからです。
立礼茶室のある家
来年5月竣工予定。
設計:奥野崇建築設計事務所
施工:西渕工務店
keep smiling!
奥野 崇
弾丸ツアーの最後は
韓国における最古の木造建築物のひとつとされている、浮石寺(ふせきじ、プソクサ)。
671年に建立された寺院で、現在の建物は1376年に再建されたと考えられています。
ちょうどソウルと安東の間に位置し、
韓国の仏教は弾圧された歴史をもつため、こうした寺院は山深いところにしか残っていないそう。
屏山書院とおなじように、建物の下に潜り込むようにアプローチしていきます。
階段をのぼって広場にでるたびに、次の建物が見えてくること3回。
そうしたシークエンスの豊かさからか、実際の移動距離以上の体感距離。
めくるめく変化。
ほの暗い床下と明るい広場、その先にみえる次の建物。
建築だけで完結しない、そこにいたるアプローチと自然の豊かさと一体感。
韓国の古建築にみた興味深い部分。
keep smiling!
奥野 崇
柊の家、が
韓国の建築・インテリア雑誌
[Interni & Decor KOREA 201610]に掲載されました。
木造特集において、紹介されています。
keep smiling!
奥野 崇
河回村と同じ安東にある、屏山書院。
今回の旅で最も良かった建築。
1607年に霊廟としてつくられたものですが、
その後学校のような用途としても使われました。
南に川を臨み、北に山を背にする、背山臨水の立地環境は、韓国における風水思想の影響でしょうか。
入り口の門を抜け建物の下に潜り込むようなアプローチには驚き。
ほの暗い建物下を歩くと、光の差す石階段。
トントンと上りきると明るい広場。
一歩一歩見え方が変化していく体験は気持ちの盛り上がりを感じます。
潜り込むアプローチは見返しの際に目線から消えるために、穴のない包まれ感を生み出します。
それでも閉塞感がないのは、壁のない柱だけの建築の向こうに山並を見渡せるからか。
李朝の人々の描いた理想にふれた気がしました。
浮遊する、安定感のある建築。
頬に感じる、川からの気持ちの良い風。
四方を緩やかに囲う建築によってうまれる広場感。
自然に建築をあわせていくこと。
keep smiling!
奥野 崇
韓国の古建築をみてみたい。
半ば思いつきのような、それでいて運命的な引き合わせのなか
強行軍にて実現した今回の旅。
愛媛の工務店、造園家の有志4名を巻き込んでの実現となりました。
ソウルから南東へ車で約4時間、河回村。
ユネスコの世界遺産に登録されている、李朝時代の姿を現代に残す村で
その中でも最も有名な韓屋のひとつである、北村宅への宿泊が叶いました。
夏は35℃付近、冬には氷点下に達する厳しい気候の中で
涼しさと暖かさをどのように得ていたのか。
まずは、涼の部分。
天井が高く開放的で、板の間で構成されており、
大きな開口部が設けられ風の抜けを重視しています。
カラッとした印象で、活動的な動の雰囲気。
次に、暖の部分。
4畳半弱の部屋の連続で、天井・壁・床・建具に韓紙が隙間なくはりこめられます。
隙間風を塞ぎ、できるだけ密閉した空間をつくることを意図されたのだろう。
かまどの煙の熱を利用するオンドルという床暖房との相性も、板張より優れるそう。
天井高さ2,250㎜と押さえられた
まゆ玉の中のような親密な、静の雰囲気。
床の紙は油のようなものに浸し、強化されています。
それらの部屋は、隣り合わせの近い距離にあり
1日の時間の中でもあちらこちらへと居場所を移動しながらの暮らしだったのでしょう。
中国の四合院の影響か、と頭をよぎる中庭型の構成。
絶妙なスケール感で、間の抜けていない落ち着き感。
陰と陽。
静と動。
低い内法高とプロポーション。
絶妙の距離感。
keep smiling!
奥野 崇
土間サロンのある家 (撮影 小川重雄)
第2回JIA四国建築賞2016にて、「佳作」を頂きました。
私達のような若い事務所が、ガチャガチャとやってきたことが、
2年に一度の開催で、由緒ある建築家協会主催の本賞にて
このような評価を頂けたことは、大変嬉しいことであります。
これからも、はったりの無い
自分なりの本当、をひとつひとつ積み上げていこうと思います。
審査委員長
古谷 誠章 (早稲田大学教授 / 有限会社ナスカ 代表取締役)
審査委員
山本 長水 (日本建築家協会名誉会員)
田處 博昭 (日本建築学会会員)
設計 : 奥野崇建築設計事務所 奥野 崇
施工 : 株式会社もみじ建築 窪田 法秀
造園 : 創造園 越智 将人
光林寺五重位牌堂
結構なサイズの1/20の模型を使っての照明実験を行いました。
光源の種類と位置を確認。
明暗の振れ幅こそが、奥行きと立体感を生むのだと再認識。
ぼんやり灯るその光に、照明設計者と思わず見とれてしまいました。
物体のアウトラインと闇との境界線が消えたときに
無限の拡がりを生むのかもしれません。
keep smiling!
奥野 崇
立礼茶室のある家
束石の選定と大工さんとの打ち合わせのため内子へ。
施工は西渕工務店さん。
玄関寄り付きは豆砂利の洗い出し仕上げ、化粧柱は杉の磨き丸太となります。
そこに取り合わせる束石をえらびます。
大きさや色味などをみながら、満足いく選択となりました。
大工さんからの積極的な提案もあり、嬉しい打ち合わせ。
その様子は、カウンターにたつ板前さんのよう。
月末に予定している建方へむけて、墨付けもほぼ終わり刻みが進みます。
続いて、伊予市の親和建材さんにて床柱の選定。
桜の皮付き柱。
どの材とするのか、どの部分を使うのか、向きはどうするのか。
現物をくるくる回しながら確認していきます。
光林寺五重位牌堂
斜面に建つため現地の地盤面や
既存建物の高さをみながらの最終確認を行いました。
いよいよ基礎の掘り方工事がはじまります。
丹原の家
外壁の焼杉板の施工開始。
炭色と木肌の色のコントラストが映えます。
全体のプロポーションを確認。
板種、部分によって板の目地を変えてはりますので、大工さんと最終の打ち合わせ。
多度津の家、の打ち合わせにあわせて、見学。
旧善通寺偕行社へ。
明治36年(1903年)に竣工した建築で、平成13年(2001年)国の重要文化財に指定。
大規模な復元工事の後、現在の姿となりました。
明治における、和と洋の融合が興味深い。
keep smiling!
奥野 崇
昨晩の豪雨の影響もなく
穏やかに地鎮祭を迎えました。
今治市玉川町にある真言宗 光林寺さんにて
五重位牌堂の工事開始となります。
約1300年の歴史を誇る、由緒ある寺院での
位牌堂をつくる、という現代的な課題。
敷地内の伝統的な木造建築物のなか、どうあるべきか。
おおきすぎる課題でした。
寺院施設の一連の再計画における第一歩となるこの建物で取り組むのは
現代の素材を使って、これからの寺院をつくる、ということ。
鉄骨造でつくられる本体に
袴のように約800本の桧の化粧垂木を掛けわたし
ランダムにガラスを嵌め込みます。
訪れた方々が気持ちを静められる、光の回廊をつくる。
その光の色は周囲にある木々によって
一年の中で変化していきます。
山の中にある寺院において、自然の移ろいを感じられるように。
また、袴部分は鉄骨の本体部分を守る役割も担います。
時に強風雨もふきあれる敷地。
鉄骨部分の外壁の止水能力にたよらない、長持ちする建物とするために
部材や屋根葺材の取り替え可能な袴部分は重要です。
想像できないほどの歴史ある寺院を
これからの世代に引き継いでいく。
現代の寺院をつくる。
大きなテーマですが、ひとつひとつ納めていきます。
2017年5月竣工予定。
WORKSへ追加しました。
真言宗光林寺 五重位牌堂
keep smiling!
奥野 崇