先の週末は、香川県三豊市へ。
向かったのは、堀部安嗣さん設計の住宅、讃岐緑想。
西讃を代表する工務店である、菅組さんのモデルハウスです。
民泊として一棟貸しされている、とのことで
なかば勢いで予約をお願いしました。
堀部さんのことを知ったのは、2004年発刊の建築専門誌「ディテール冬季号」
建築家の 故 永田昌民さん、横内敏人さんとの対談と
それぞれがつくられた建築の紹介というものでした。
僕は、当時20代前半で建築設計の実務についた頃。
その言葉と建築作品に心打たれ、
何度も何度も読み込んだことを覚えています。
対談からの抜粋
"主観性というのは、勝手気ままにやるというのではなくて、経験に裏打ちされた、自分の体に肉体化されている感覚に正直につくる、そういう主観性だと思いますが、そういった設計思想でつくられたものは非常に安心感がある。(中略)記憶というものの継承をちゃんと考えていらっしゃるのではないか (中略)土地がもっていた記憶をどう継承していくか、周辺の風景と断絶しないでどう将来へつなげていくか、あるいは永田さん、横内さんの出会ったものを次に伝えていく。主観性を通して記憶というものの継承を大事にしていらっしゃるんじゃないか"
実際の建築を一日体験してみて。
十分に煎じ詰められた全体と部分、椅子に腰掛けた時に感じるフィット感。
それはまるで、大きな家具のような住まいでした。
ほぼ30坪と、決して大きくないその建築には、
居心地の良さを追い求めた多くの先人たちの面影と、
堀部さん自身の経験に基づく揺るぎない価値観とが在りました。
keep smiling!
奥野 崇