バワの絶作となったこの建築。ラストハウス。
完成を見ることなく、バワは2003年にこの世をさります。
スリランカの南の沿岸地域、タンガッラの海辺。
現在も小規模なヴィラとして利用されていますが、道路への看板やサインはひとつもありません。
車一台分が精一杯の小道のその先にひっそりと佇みます。知る人ぞ知る、といった感じ。
道路側からは開口がひとつあるだけ。
バワの建築言語のひとつ、潜り込む、がここでも。
規模は違えど、アプローチの仕方はベントタのビーチホテルにとても似ています。
階段を上りきると、薄暗い回廊と、明るいプール付きの中庭。
コの字型に建物は配置され、
道路側とはレベル差によってプライバシーを確保するという上手い処理。
共用部分の開放的なアウトドアリビング
ほどよい光量と、白のインテリアが映えるインナーリビング。
目の前にはインド洋。それでも直接ビーチではないので落ち着きがあります。
確かに、宿泊していたヨーロピアンも年齢層は高めでした。
木漏れ日と重層する外部空間の連なり。
各ゲストルームにも見とれてしまうほどの綺麗な光が。
水回りの魅力はため息がでるほど。
小規模な建築ではあるが、つめこまれたたくさんの魅力的な空間の数々。
バワ自身がその場を歩きながら設計したような建築。
彼の目線の動きを追走してしまう、パーソナルな空間に彼の集大成をみた気がしました。
keep smiling!
奥野 崇