北欧建築の旅6 森の墓地

フィンランドの西の古都トゥルクを後にして、向かうはバルト海の対岸にあるスウェーデンのストックホルムへ。
宿泊型のフェリーにて、半日の移動です。
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限られた面積の中で最大の客室数をとるため、ミニマムな個室。
普段の住宅の設計ではなかなかない寸法体系です。
洗面とトイレのシャワーが近接しているため、床のシャワーの水滴取り用のゴムベラが。
同一スペースを兼用する工夫ということですね。
 
 
ストックホルク入りの目的は、
エーリック・グンナール・アスプルンド(1885-1940)の建築を体験するため。
現在進めている寺院の設計の完了前に宗教観は違えど、アスプルンドの森の墓地をみてみたかった。
それ程に奥深さを感じてしまう建築だったのです。
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ストックホルム郊外の広大な敷地。
市の管理する墓地で、礼拝堂や火葬場などの一連の施設があります。
1918年からアスプルンドの最期まで続いた、文字通りのライフワークとなった仕事。
ちなみに、スウェーデンでは葬儀税(正式な呼び方でないです)なるものがあって
いかなる国民も等しく葬儀を行うことができるそう。
一連の施設は写真の丘の向こう側にあって、利用者は自分の足音をききながらそこに向かいます。
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アプローチの先に十字架がたてられ
十字架の道、と呼ばれます。
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全体のランドスケープは軸線を巧みに操作しながら
植栽を整然と並べてみたり、列植されてみたり
樹木の密度と光量によってシーンをつくっていることに気付きます。
 
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森の礼拝堂。
軒がとても低いので目線と軒の水平ラインが揃い
屋根の三角形が強調されます。
乱暴な意見ですが、個人的に堀部さんのつくった納骨堂のアプローチと重なって感じます。
入り口の門にはアスプルンドの記した衝撃的なメッセージ。
「今日は私、明日はあなた」
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大礼拝堂には大切な人をなくした家族へのやさしさが随所にみられます。
最も悲しみの深い喪主の席の前には、家庭的な雰囲気により気持ちを和らげるための絨毯のような彫刻。
亡き人のことを語らえるよう皆の顔が見えるよう角度をつけたベンチ。
水面に映り込む十字。
 
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美しい北欧の空を背景にみる計画の壮大さ。
樹木の密度によってシーンをつくる発想。
ここまでもか、と唸るほどの人の気持ちによりそう設計。
すさまじい水準の壮大さと繊細さの共存に、ただただ感動の連続であった。
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keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.5.29
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