直接体で触れて、暮らしに寄り添う家具。
奥野事務所では、家具の存在を建築の設計と同様に重要と考え、
家具の選定についても、設計作業の延長線上として関わらせて頂いております。
柊の家の建主さんと、いつもお世話になっている高松 中村谷さんへ。
実際にさわってみて、座ってみることは必須。
デザイン・素材によって特性を踏まえ、使い勝手をアドバイスさせて頂きながら、
実際に座ってみて理屈抜きに「これ好き」という感覚を大切に。
納得いく選定ができたかな、と思います。
一方現場では外壁の仕上げ工事開始。
自然素材を原料とした、劣化や退色の少ないシラスそとん壁にて。
ベージュがかった色合いは上品な雰囲気で、とても綺麗。
細かな納まりや、それぞれの寸法、色合いが紡ぎあい
柊の家がもちうる空気感、があらわれてきたように思います。
keep smiling!
奥野 崇
インド洋沿いの海辺にあるヴィラ。
THE VILLAとCLUB VILLA。
正に隣り合わせにある宿泊施設。
あいにくTHE VILLAのほうはウェデイングの貸切状態だったため少しだけ。
現在はバワの関係者の手から離れていますが、
白と黒を好んだバワを慕ってかモノトーンのインテリア。
古い家を買い取り、バワの手によって改修、増築が繰り返されました。
もう一方のCLUB VILLA。今回の宿泊先ともなりました。
小さな単位で内部と外部が繰り返されるプラン。
もちろん温暖な気候は背景にありますが、めくるめく空間体験の多様さはバワの真骨頂。
客室は約20室程の小規模なもので、
背の高いエントランスのホールから4室程のユニット単位で散りばめられています。
宿泊の客室以外も見学できましたが
建物の断面形状をいかした、全室ほぼプランが異なる客室。
ゆったりと滞在して部屋の違いを楽しむのもひとつかもしれません。
客室内でも居場所のつくりかたは光ります。
客室内の実測。
平面図右の出っ張った窓辺のスペースは庭を望む、とても気持ちの良い空間でした。
バワがそこでどう佇んだのかが想像できるようなプランで
インテリアや家具も含めた、過ごし方の提案をしてくれているよう。
建築、インテリア、家具、照明、ファブリック、調度品がひとつとなるということ。
keep smiling!
奥野 崇
インド洋のまち、ベントータへ。
バワの初期の作品である、ベントータ・ビーチ・ホテル。1969年竣工。
ただし、現在の姿は増築や改修が加えられ、オリジナルとは少し違います。
当初のデザインは中庭に水盤を抱く、こじんまりと落ち着いた様子だったそう。
しかしながら、スリランカの歴史をヒントにバワのデザインはみてとれます。
エントランスの色鮮やかな天井。
実は、これ
カンダラマホテルのあるダンブッラの世界遺産、
スリランカの人なら誰もが知る歴史ある寺院、石窟寺院の天井画のオマージュ。
仏像の天井に描かれた天井画をヒントに、バワはエントランスのデザインを決定しました。
海外の人も多く訪れるホテル建築。
そこへスリランカを象徴するデザインを取り込むこと。
建築にメッセージを込めること。
レストランには、デフォルメしたデザインへと繋がっていきます。
中庭の水盤をみる回廊に設けられた、居場所。
ここでもたまりの設計は流石の一言。
直線的な構成のなかに、斜めの使い方が巧く絶妙の落ち着き感をつくります。
そこに座って中庭を眺めたスケッチは右側のもの。
左は回廊部分の断面。高さ寸法がミソと思います。
張り出した建物の角度はモンスーンで吹き荒れる降雨の雨降線から導かれたもの。
階段の納め方もおもしろい。
階段部分は穴倉のような柔らかいデザインが多く採用されています。
遠藤新のつくった武庫川女子大学の階段と似ていた記憶があります。
飽きさせない移動空間の演出。
続いては、同じくベントータにある隣あわせのクラブ・ヴィラ、ザ・ヴィラへ。
keep smiling!
奥野 崇
スリランカ最後の王国があった山間部のまち、キャンディ。
1815年からスリランカは全土をイギリスの植民地として、1948年の独立まで歩んでいきます。
周囲を山々に囲まれたまち。
八幡浜の山側の風景に重なったのは、個人的なものでしょうか。
キャンディにはバワ作品はありませんが
スリランカの重要な施設、佛歯寺が。釈迦の犬歯が納められています。
宿泊先はコロニアル様式の美しい、クイーンズホテル。
佛歯寺のすぐ前にあります。
タイムスリップしたような趣きある客室。
天井が高い。
バワも生前、このホテルを利用したそう。
右にかいてあるのは、佛歯寺の犬歯を納める容れ物。
運良く拝見できました。
アジア特有のパワーみなぎる、まちの様子。
外国人は少なく、現地のマーケットへ。
野菜、ヤシの実、南国のフルーツ、米の計り売り、食肉売り場、犬の多さに圧倒されました。
続いて、バワによるホテル建築が残るインド洋沿岸部へ。
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奥野 崇
マンゴーのような形をしたスリランカの中央の少し北にあるダンブッラの町。
そこからポツポツと民家が続く、そのまた奥に
バワ特集の表紙を飾ってきたカンダラマホテルはあります。
その姿は、熱帯のうごめく緑に取り込まれるよう。
建物と自然との境界線はなくまさに一体といったところか。
バワ本人は、50年後には野生動物の住処になればよい。と力説したとのこと。
周辺の緑のなかを空中散歩するかのような客室廊下部分。
レストランも自然と一体にあるように。
フチのないインフィニティプールはバワの発明と言われています。
いつか誌面でみた、岩が剥き出しのエントランス部分。
集光の強い光が陰影を際立たせます。
外の力強い自然に対しての配慮か、客室内部はいたってシンプル。
ファブリックの使い方、照明のディティールなどバワらしさ、が垣間みえます。
建物と自然が一体となったヴィジュアルがあまりに印象的だが、
体験してみて思ったのは、あちらこちらに居場所をつくるバワの巧さ。
客室を片廊下型の廊下で接続しているため
その廊下部分は単なる移動スペースとして単調になりがち。
バワは客室を一定数のユニットにわけてその隙間部分に
湖が見えるスペースや、岩肌を望むスペースなどそこそこに落ち着いたたまりをつくる。
自然を愉しむ処をいくつも用意してあって、
次は何、とわくわくする。飽きさせない。
うろうろ、うろうろしてしまいました。
一見マクロに建物の姿を設計しながらも、ミクロの部分が魅力的な建築。
いいなあ。
余談ですが。
ロビーにあるふくろうの彫刻はあまりに有名で
バワとの建築においてもアートにおいても、協働関係にあったラキ・セナナヤケの作。
そのラキさんはカンダラマ近くにお住まいとのことで、お会いできました。
自然のなかに悠々自適に暮らされていました。
ここにもふくろうが。(現地の言語であるシンハラ語ではバッサというそう)
好き、なんだそう。
感動のバワ建築の初対面の興奮さめないまま、
古都キャンディへ。
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奥野 崇
先週はスリランカへ、ジェフリー バワの建築を巡る旅に。
※写真は住宅作品No.87の庭園。
スリランカの気候風土に根ざした
内部空間としての建築と
外部空間としての環境とを一体的に設計する氏。
空間体験をもとに綴ってまいります。
keep smiling!
奥野 崇
チルチンびと住宅建築賞の授賞式で
神保町の風土社さんへ。
5つ庭の平屋の家にて、
45才以下建築家部門の最優秀賞を頂きました。
泉先生をはじめ審査員の諸先生方とお話しすることができ
全国の同世代で木造に取り組む設計者との出会いもあり、
大変に刺激になりました。
3月11日発売の「チルチンびと」にて
写真や講評が掲載されています。
見かけましたら、手にとってやってくださいませ。
keep smiling
奥野 崇