想いをこめる

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柊の家、外部の木製建具の取り付けがはじまりました。
 
既製品のサッシを取り付けるのもいいですが
木の風合いを生かして
ひとつひとつ、建具職人さんとコチコチとつくっていくこともしばしば。
もちろん、機能性、断熱性については疎かにしないのは当然の取り組みです。
いざ、つくるとなるとひとつひとつ納まりは変わってきますから、綿密な打ち合わせは必須。
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原寸(実物大)の図面にて一箇所ずつ、枠廻り・建具の取り合いを調整。
最終的な判断は手書き、
それぞれの大きさを検討していくのが私達の事務所やり方です。
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柊の家、建具のみの意匠施工図の束。
それなりの分量となりましたが、質や精度を求めるならばやはりこれくらいは必要です。
 
 
現場がはじまると特に細かく、密度を上げて図面をかくので
備え付けのA3サイズ(420mm×297mm)のコピー機では対応できなくなってきて困っていました。
それでも、A2サイズの出力ができるコピー機は約200万!と高額。
普段から設計図面はA2サイズ(420mm×594mm)ですが、
手間ですが外注にて印刷会社さんにお願いするという矛盾状態が続いていました。
 
手が出ないなあ、と思っていたのですが縁あって、
なんと中古品を格安にて譲って頂けることに!!
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エレベーターにぎりぎりで
やっとこさ上がってきましたが、大きい大きい。
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スタッフとみんなで搬入経路をつくり
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無事、鎮座。
大きい図面が気兼ねなく出力でき、随分と仕事がやりやすくなりました。
 
 
私達設計者にとって図面とは、手紙のようなもの。
意図や工夫、想いを、具体的な素材・寸法、納まりへ変換して現場のつくり手へ届けます。
 
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : お知らせ | posted at 2016.4.14

余戸の家、芽吹き

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今年の年始に竣工しました、余戸の家。
春の訪れとともに、若々しい緑がちらほら。
 
「住まい」をつくる上で
建物と緑は不可分なもの、と考えます。
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 現場進捗 | posted at 2016.4.13

こと新たに

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松山市内現場にて、たわわに種をつけたたんぽぽを見つけました。
生命の季節。
 
 
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蛇籠が印象的な敷地。
立礼茶室のある家、実施設計を終えました。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : お知らせ | posted at 2016.4.11

スリランカ、バワ建築の旅7 バワ自邸他

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雑多なコロンボ市内にある、バワの自邸No.11。
長屋状の住宅を買い足しながら、改修を進め現在の姿に。
念願の見学が叶いました。
変換 ~ 53
 
 
変換 ~ 55
内部は迷路のように複雑で
蟻の巣のように各部屋が玉突き状に続きます。
平面プランが想像できなくなり、まるで迷宮。
図面でここか、と確認。
右のスケッチはバワが愛したロールスロイス。
主なき今もひっそりとガレージに置いてあります。
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長屋という立地から、先のルヌガンガのような広大な庭園はありません。
しかしながら、ポツ ポツと点在する小さな光庭には美しい光が。
白く塗りこめられた壁や床は
光をより抽象化し、植物や家具、置物をより顕在化させるよう。
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廊下の突き当たりにある、ラキさんがつくったふくろう。
もはや神々しさまで感じます。
 
 
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2階に上がる階段は白い光の洞窟。
そこに熱帯植物のツルに模した鋳鉄の手摺が迎えてくれます。
 
階段、廊下のつくりかたは角のない丸みを帯びたデザインでまとめるのはいくつかの作品で見られましたが、
今回が最も心に残りました。
空想の世界が目の前に現れたよう。
好きなアーティストである、杉戸洋さんの作品を思い出しました。
 
 
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現在この住宅はホテルとしても利用できるようです。
バワ財団が管理運営を行っているとのこと。
次回は是非宿泊して実測してまわりたいもの。
 
 
もうひとつ、海辺のベントータのまちにあるNo.87と呼ばれる住宅。
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広大な庭園をもちます。
 
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外に追い出した、リビングルーム。
 
 
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忘れられないシーン。
寝室におちる、柔らかな光の一片。
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スリランカ、バワの旅の最後に。
王国として深く長い歴史を持ちながらも
かつてはイギリスの植民地という過去を背負い、現在は敬謙な仏教国としてあるスリランカ。
 
バワはスリランカという国が独立し、そのアイデンティティーを確立していく過程の中で活躍した建築家。
自身はヨーロッパで建築を学びながらも、年を重ねるごとにスリランカ固有の建築言語を取り込んでいきます。
スリランカの持つ歴史や、気候風土に根ざした住まい。
それらスリランカらしさ、を謙虚に踏襲しながらも、現代のライフスタイルの中へ溶け込ませていく。
その姿勢に今後、私達が取り組んでいく道筋が見えた気がします。
 
またいつか、もう一度バワの建築をみてみたいと思います。
そのときに、自分の目にどう映るかをたのしみにしながら、
新たに日々の仕事に取り組んでまいります。
 
変換 ~ 17
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.4.10

スリランカ、バワ建築の旅6 ホテル群

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旧トリトンホテル。
手前の水盤、プール、インド洋が繋がります。
インフィニティプールの発明といい、
バワは建築と環境の一体化・連続を図ったのを感じます。
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印象的につくられる階段。
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連続する中庭空間。内外が曖昧な様子。
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施設内にポツポツとおかれる、ラブチェア。
両側から座ると、お互いに見つめるように角度が調整されています。
ロマンチックで素敵。
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いくつかの客室を見学。バワの後継者といわれるチャンナによるデザイン。
 
 
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続いて、ブルーウォーターホテル。
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開口上には簾のようなものが。
写真では分かりにくいですが、景色はかなり透過してみえます。
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客室内は柔らかい印象。
訪れたホテルはどこもそうでしたが、天井が高い。
日本の住宅において
このところ低く、重心を抑えた設計をよくみますが、個人的にはこういう開放的なところも欲しい。
こもるところと、伸びやかなところ。自分にとってのキーワードになりつつあります。
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ベッドヘッドが入り口側の珍しいレイアウト。
シャワールーム内からも海が望めるようになっています。
 
 
 
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最後はライトハウスホテル。
バワは生前、このテラス席で沈む夕日を眺めたそう。
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アーシーな色の塗りわけがみられます。
その地方の土の色や、植物の色は
まち並みや建物の色彩に大きな影響を与えます。
大事にしたいところ。
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壮大な環境に開くだけでなく、小さな単位の親密な空間を散りばめられます。
「そうは言っても、大事だよね」とバワの声が聞こえるよう。
いろんな場面や居場所をつくることの嬉しさ。
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次回は住宅作品についてまとめて、スリランカの旅を締めくくろうと思います。
 
keep smiling!
奥野 崇
 
 
 
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.4.6

スリランカ、バワ建築の旅5 ルヌガンガ

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ジェフリー・バワの生涯をかけた仕事、ルヌガンガ。
1948年に朽ち果てたゴム園を購入し、2003年84歳にて亡くなるまで
週末住宅や大切な客人を招くところとして手を入れ続けた。
その建物群とランドスケープは
「世界で最も美しい庭園」とも称される。
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敷地はベントータ川を引き込んだ淀みのようなデダワ湖のほとりにある。
ちなみにシンハラ語で、ルヌは塩、ガンガは川の意で塩の川ということ。
インド洋にほど近いところにあります。
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巨大な敷地の中に点在する建物は現在ホテルとしても利用されています。
残念ながら泊まることはできませんでしたが、ゆっくりと夕食をとることができました。
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建物のひとつ、シナモンヒルハウス。
建築と庭園が一体となった、アウトドアリビング。
その天井の高さからか、もはや屋根の存在を感じません。
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変換 ~ 29
シャワールームの中には木が!(写真には写ってないですが、手前に木が植わってます)
手塚さんのつくられた、ふじ幼稚園を連想。
訪れたことがあると聞いたことがあるので、参考にされたのか、そうでないのか。
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敷地内の階段のデザインは独特で印象的。
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先に訪れた世界遺産、シギリヤの引用か。
 
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夕暮れにかいたスケッチ。
柔らかいカーブを描く縁石が、眼下に拡がるデダワ湖のアウトラインに重なる。
 
なんと、大地から発想したと知る。
建築と庭園、大地が一体となった楽園。
その感動から、しばらく動けませんでした。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.4.4

柊の家 置き家具選定・外壁工事

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直接体で触れて、暮らしに寄り添う家具。
奥野事務所では、家具の存在を建築の設計と同様に重要と考え、
家具の選定についても、設計作業の延長線上として関わらせて頂いております。
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柊の家の建主さんと、いつもお世話になっている高松 中村谷さんへ。
実際にさわってみて、座ってみることは必須。
デザイン・素材によって特性を踏まえ、使い勝手をアドバイスさせて頂きながら、
実際に座ってみて理屈抜きに「これ好き」という感覚を大切に。
納得いく選定ができたかな、と思います。
 
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一方現場では外壁の仕上げ工事開始。
自然素材を原料とした、劣化や退色の少ないシラスそとん壁にて。
ベージュがかった色合いは上品な雰囲気で、とても綺麗。
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細かな納まりや、それぞれの寸法、色合いが紡ぎあい
柊の家がもちうる空気感、があらわれてきたように思います。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 現場進捗 | posted at 2016.3.31

スリランカ、バワ建築の旅4 海辺のヴィラ2つ

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インド洋沿いの海辺にあるヴィラ。
THE VILLAとCLUB VILLA。
正に隣り合わせにある宿泊施設。
 
あいにくTHE VILLAのほうはウェデイングの貸切状態だったため少しだけ。
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現在はバワの関係者の手から離れていますが、
白と黒を好んだバワを慕ってかモノトーンのインテリア。
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古い家を買い取り、バワの手によって改修、増築が繰り返されました。
 
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もう一方のCLUB VILLA。今回の宿泊先ともなりました。
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小さな単位で内部と外部が繰り返されるプラン。
もちろん温暖な気候は背景にありますが、めくるめく空間体験の多様さはバワの真骨頂。
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客室は約20室程の小規模なもので、
背の高いエントランスのホールから4室程のユニット単位で散りばめられています。
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宿泊の客室以外も見学できましたが
建物の断面形状をいかした、全室ほぼプランが異なる客室。
ゆったりと滞在して部屋の違いを楽しむのもひとつかもしれません。
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客室内でも居場所のつくりかたは光ります。
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客室内の実測。
平面図右の出っ張った窓辺のスペースは庭を望む、とても気持ちの良い空間でした。
バワがそこでどう佇んだのかが想像できるようなプランで
インテリアや家具も含めた、過ごし方の提案をしてくれているよう。
 
建築、インテリア、家具、照明、ファブリック、調度品がひとつとなるということ。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.3.30

スリランカ、バワ建築の旅3 ベントータ

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インド洋のまち、ベントータへ。
バワの初期の作品である、ベントータ・ビーチ・ホテル。1969年竣工。
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ただし、現在の姿は増築や改修が加えられ、オリジナルとは少し違います。
当初のデザインは中庭に水盤を抱く、こじんまりと落ち着いた様子だったそう。
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しかしながら、スリランカの歴史をヒントにバワのデザインはみてとれます。
エントランスの色鮮やかな天井。
実は、これ
カンダラマホテルのあるダンブッラの世界遺産、
スリランカの人なら誰もが知る歴史ある寺院、石窟寺院の天井画のオマージュ。
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仏像の天井に描かれた天井画をヒントに、バワはエントランスのデザインを決定しました。
海外の人も多く訪れるホテル建築。
そこへスリランカを象徴するデザインを取り込むこと。
建築にメッセージを込めること。
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レストランには、デフォルメしたデザインへと繋がっていきます。
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中庭の水盤をみる回廊に設けられた、居場所。
ここでもたまりの設計は流石の一言。
直線的な構成のなかに、斜めの使い方が巧く絶妙の落ち着き感をつくります。
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そこに座って中庭を眺めたスケッチは右側のもの。
左は回廊部分の断面。高さ寸法がミソと思います。
 
 
 
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張り出した建物の角度はモンスーンで吹き荒れる降雨の雨降線から導かれたもの。
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階段の納め方もおもしろい。
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階段部分は穴倉のような柔らかいデザインが多く採用されています。
遠藤新のつくった武庫川女子大学の階段と似ていた記憶があります。
飽きさせない移動空間の演出。
 
続いては、同じくベントータにある隣あわせのクラブ・ヴィラ、ザ・ヴィラへ。
 
keep smiling!
奥野 崇
 

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.3.29

スリランカ、バワ建築の旅2 キャンディ

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スリランカ最後の王国があった山間部のまち、キャンディ。
1815年からスリランカは全土をイギリスの植民地として、1948年の独立まで歩んでいきます。
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周囲を山々に囲まれたまち。
八幡浜の山側の風景に重なったのは、個人的なものでしょうか。
 
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キャンディにはバワ作品はありませんが
スリランカの重要な施設、佛歯寺が。釈迦の犬歯が納められています。
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宿泊先はコロニアル様式の美しい、クイーンズホテル。
佛歯寺のすぐ前にあります。
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タイムスリップしたような趣きある客室。
天井が高い。
バワも生前、このホテルを利用したそう。
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右にかいてあるのは、佛歯寺の犬歯を納める容れ物。
運良く拝見できました。
 
 
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アジア特有のパワーみなぎる、まちの様子。
外国人は少なく、現地のマーケットへ。
野菜、ヤシの実、南国のフルーツ、米の計り売り、食肉売り場、犬の多さに圧倒されました。
 
続いて、バワによるホテル建築が残るインド洋沿岸部へ。
 
keep smiling!
奥野 崇

category : 建築をまなぶ旅(海外) | posted at 2016.3.27
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