気がつけば今年も桜の季節。
怒涛の三ヶ月でありましたが、実施図面も取りまとまって小休止です。
三月の上旬にみた建築で、印象的だったのでご紹介。
京都、清水五条にある河井寛次郎記念館。
民藝運動で中心的な存在であった氏は、
全国の民家を参考に、この建物を自宅として自身で設計をしています。
通り土間の入口部分。
時の重なりを感じます。
若くして一躍注目されたのち、
“自分の作品は衣装であり化粧であり、中身の体はどうしたのか、心がけはどうしたのか”と
作品づくりを中断し、暮らしに根ざした民藝や、日本や朝鮮の手仕事に大きく影響を受けます。
この記念館の床も朝鮮張り。収集した骨董も多くみられました。
間口が狭く、奥に長い町家形式の奥には小さな庭と登り窯があります。
住居と登り窯の間にある、小さな小さな書斎。
ここがとても気に入りました。
パンフレットには茶室、とありましたが、
実際には陶芸活動の合間の休憩や想いをはせる場所として使われたのでは、と想像します。
約2mほどの低い天井に囲まれたこのスペースは実に落ち着きます。
ほの暗い室内からは気取らない庭が目の前。室内と庭がすぐ近くに、身体もすぐ近くに。
いいなあ、と思える空間。
keep smiling!
奥野 崇