すっかり暖かくなり、外の明るさが増したような気がするこの頃。
この季節の楽しみ、植木祭りで買いこんでいた苗木を整理しました。
建物のエントランス部分は、南の陽があたらないものですから
ハイノキやアオダモを新たに加え、下草にはフッキソウとキチジョウソウを。
エレベーターを降りると目の前に。
初々しい黄緑色のそれらは、新たな季節の到来を喜んでいるように見えます。
keep smiling!
奥野 崇
気がつけば今年も桜の季節。
怒涛の三ヶ月でありましたが、実施図面も取りまとまって小休止です。
三月の上旬にみた建築で、印象的だったのでご紹介。
京都、清水五条にある河井寛次郎記念館。
民藝運動で中心的な存在であった氏は、
全国の民家を参考に、この建物を自宅として自身で設計をしています。
通り土間の入口部分。
時の重なりを感じます。
若くして一躍注目されたのち、
“自分の作品は衣装であり化粧であり、中身の体はどうしたのか、心がけはどうしたのか”と
作品づくりを中断し、暮らしに根ざした民藝や、日本や朝鮮の手仕事に大きく影響を受けます。
この記念館の床も朝鮮張り。収集した骨董も多くみられました。
間口が狭く、奥に長い町家形式の奥には小さな庭と登り窯があります。
住居と登り窯の間にある、小さな小さな書斎。
ここがとても気に入りました。
パンフレットには茶室、とありましたが、
実際には陶芸活動の合間の休憩や想いをはせる場所として使われたのでは、と想像します。
約2mほどの低い天井に囲まれたこのスペースは実に落ち着きます。
ほの暗い室内からは気取らない庭が目の前。室内と庭がすぐ近くに、身体もすぐ近くに。
いいなあ、と思える空間。
keep smiling!
奥野 崇
先月末に引渡しをおえた、福音寺の家。
落ち着ける場所をつくろうと、リビングの壁面には造り付けのソファーがあります。
いったんは洗い替え用のカバーにて使って頂いておりましたが、
建主さんお気に入りの、ミナペルホネンの生地を使ったものができあがりました。
角の部分も、タンバリンのパターンを、うまく連続させてくださいました。
室椅子工芸の室さん、いつもありがとうございます。
裏地にひと工夫あるファブリックなので、経年変化も楽しみ。
オットマンも製作しましたが、使いやすいです、とのお言葉。
一番の励みになります。
一方、外回りでは庭工事が進みます。
雨のなか、仙波農園の皆さんには頭があがりません。
コメツガ、ドウダンツツジ、タマリュウ、キチジョウソウと。
あと少し。
keep smiling!
奥野 崇
廿日市での打ち合わせのあしで、岩国にある宇野千代さんの生家を訪ねました。
多才で常に進み続けたその生涯とは裏腹に、とても静かで穏やかな住まい。
軒下の高さが1500mmほどで、
縁側に腰掛けるとちょうど良く、たくさんのもみじと苔のシンプルな庭を眺められます。
東京に拠点を置きながらも故郷への想いは強かったそうで、
帰郷されると縁側にちょこんといらっしゃったそう。
あなたに似ているから、と勧められて手に入れたという仏頭。
生前の宇野千代さんと、20年過ごしたとの管理人さんがいろいろとお話ししてくださいました。
茶の間からみた庭。
新緑の季節のもみじの林は、眩しく、元気な子供のようなんだそう。
見てみたい。
keep smiling!
奥野 崇
ものづくりの現場が好きです。
すぐ横で、今つくられようとしている建築を見ながらの打ち合わせ。
これ以上の臨場感はありません。
出来上がりはもちろん、
つくられる過程や作業性も考えながら、詳細図面をつくります。
できた瞬間のきれいさだけでは、建築は成り立ちません。
見えなくなる部分の良し悪しこそが、
それが永く在れることに深く関係すると考えます。
わずか10坪にもみたないお茶室に、可能な限りの想像力を。
関わるメンバー、それぞれが真摯に仕事に取り組む。
いい空気感の中、ものはつくられています。
keep smiling!
奥野 崇
イギリスにて、作家のための静かな四阿をつくりたい、と。
ご自身も作家であるBeth Kemptonさんと
執筆活動のために滞在中の京都にて打ち合わせ。
現地の材料で現地の職人とつくろう。
築100年ほどの建物は全然珍しくないようで
古い民家をリノベーションしながら、小さな四阿を配置できたらいいねと、とお話しました。
着地点はまだこれから、楽しみなプロジェクトです。
keep smiling!
奥野 崇