住宅におけるここちよさ、
について現代にも多くの影響を与え続けている、故吉村順三。
吉村先生が設計された別荘が、宿泊施設へと転用されているとのこと。
HAYAMA Funny House
先の鎌倉山からもほど近いようで、これはいくしかないな、と。
写真右の階段を下りると海、という別荘地の中にあり、
続きでつくられた2戸の別荘とガレージを改装し
2室のホテルとレストランとしてリノベーションを行っています。
手の届きそうなほど低い軒高の控えめな姿。
アプローチは建物の背面からで、細い路地のような雰囲気。
体にふれそうなくらいに迫る植物。
外壁がくぼんだような玄関部分。
斜めに続くホールの先には、パノラマに海が拡がるリビングルーム。
ホールとリビングには45cmのレベル差があり、
トントンと階段をおりながら段々と水平線が見えてくる、という感動的なシークエンス。
緩やかなカーブを描く天井は、室内を柔らかく包み込みます。
海沿いにある、絶妙なサイズの洞窟のポッカリあいた穴から眺める、感覚。
天井高さの変化と開口高さがとてもいい。
壁においても要所に柔らかいカーブ。
まるで、軽やかに踊るようなプラン。
動線処理と同時に、各居場所に包まれ感をつくりだします。
客室の実測スケッチ。
プランの振れ、がみてとれます。
海沿いという立地もあり、築約50年ということもあり、
内外装とも、多くの改修が加えられています。
仕上げ関係は白く塗りつぶされ、多くの造り付け家具は既になくなっています。
しかしながら、空間の輪郭や開口の設け方などは
設計時に思い描いたであろう姿として現在もあります。
それは、時代を超え、今もこの場所とともにあります。
空間がつくりうる幸せな空気感や、
プランの可能性。
たくさんの残像とともに、思い出深い旅となりました。
keep smiling!
奥野 崇