雑多なコロンボ市内にある、バワの自邸No.11。
長屋状の住宅を買い足しながら、改修を進め現在の姿に。
念願の見学が叶いました。
内部は迷路のように複雑で
蟻の巣のように各部屋が玉突き状に続きます。
平面プランが想像できなくなり、まるで迷宮。
図面でここか、と確認。
右のスケッチはバワが愛したロールスロイス。
主なき今もひっそりとガレージに置いてあります。
長屋という立地から、先のルヌガンガのような広大な庭園はありません。
しかしながら、ポツ ポツと点在する小さな光庭には美しい光が。
白く塗りこめられた壁や床は
光をより抽象化し、植物や家具、置物をより顕在化させるよう。
廊下の突き当たりにある、ラキさんがつくったふくろう。
もはや神々しさまで感じます。
2階に上がる階段は白い光の洞窟。
そこに熱帯植物のツルに模した鋳鉄の手摺が迎えてくれます。
階段、廊下のつくりかたは角のない丸みを帯びたデザインでまとめるのはいくつかの作品で見られましたが、
今回が最も心に残りました。
空想の世界が目の前に現れたよう。
好きなアーティストである、杉戸洋さんの作品を思い出しました。
現在この住宅はホテルとしても利用できるようです。
バワ財団が管理運営を行っているとのこと。
次回は是非宿泊して実測してまわりたいもの。
もうひとつ、海辺のベントータのまちにあるNo.87と呼ばれる住宅。
広大な庭園をもちます。
外に追い出した、リビングルーム。
忘れられないシーン。
寝室におちる、柔らかな光の一片。
スリランカ、バワの旅の最後に。
王国として深く長い歴史を持ちながらも
かつてはイギリスの植民地という過去を背負い、現在は敬謙な仏教国としてあるスリランカ。
バワはスリランカという国が独立し、そのアイデンティティーを確立していく過程の中で活躍した建築家。
自身はヨーロッパで建築を学びながらも、年を重ねるごとにスリランカ固有の建築言語を取り込んでいきます。
スリランカの持つ歴史や、気候風土に根ざした住まい。
それらスリランカらしさ、を謙虚に踏襲しながらも、現代のライフスタイルの中へ溶け込ませていく。
その姿勢に今後、私達が取り組んでいく道筋が見えた気がします。
またいつか、もう一度バワの建築をみてみたいと思います。
そのときに、自分の目にどう映るかをたのしみにしながら、
新たに日々の仕事に取り組んでまいります。
keep smiling!
奥野 崇