松山 柊の家 の木材が工場に揃ったとのことで
建主さんと、内子の西渕工務店さんへ。
取次にて使用する桜の上がり框と式台。
この寸法の桜の材料は、全国的に希少のため徳島にて買い付けてきて下さいました。
その他、杉・檜の化粧材を現物確認。
とても綺麗な材料を揃えてくださり、ありがたい限りです。
工場内では棟梁の中山さんが墨付け、仕口加工の最中。
ふわっと、木の香りが漂います。
自然素材での手仕事の家づくり、を大切にされている西渕工務店さん。
木材を目の前にしたときの
社長を始め、働かれている皆さんのいきいきとした様子が印象的で、
住まいづくりの哲学をしっかり共有されています。
住まい、とは 生き方、が表現されるもの。
様々な方のお力を借りながら、
建主さんの住まい=生き方に、私なりの想いを込めてまいりたいと思います。
keep smiling!
奥野 崇
ケルンからライン川と共に南へ下りて、
ドイツ、フランスの国境の街、スイス・バーゼルへ。
スイスというと寒いイメージがありましたが
バーゼルは海抜400m程なので、そんなに寒くはありません。
バーゼル付近では
等を視察。
ヴィトラとは家具メーカーで、この施設はその組み立て工場やミュージアムがいくつか集まったもので、建物の設計者には建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞の受賞者も多数名をつらねます。
日本からは安藤忠雄さん、SANAAが参加。
他にはヘルツォーグ・ドムーロン、フランク・ゲーリー、ザハ・ハディド、アルバロシザ、レンゾピアノ、ジャン・プルーヴェと豪華絢爛。建築の見本市といったところか。
特にヘルツォーグの建物は
小屋が積み重なったような建物で、あまりに有名。
屋根の建築、という今のトレンドのさきがけ。
内部空間の無秩序でシームレスな、めくるめくつながりは面白かったが、
全体としてはコマーシャル的要素の強い建築、というのが僕の感想。
建築の表層を重要な要素として設計する、のは分かるが
奥ゆかしさ、気分の抑揚は感じない。
本施設の他の建物をみても同様の感想で、
現代建築とは何なんだろうと考えてしまいます。
スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館が知られる、フランク・ゲーリーの建築。
安藤さんのセミナーハウス。
ヴィトラ社家具のショールームもあります。
コーディネート、まとまってます。
続いて、バイエラー美術館。イタリア人のレンゾピアノの設計。
柔らかな自然光を導く、を設計主題とした建築。
明るい天井と壁、の建築。
金物のディティールワークはさすがです。
※内部撮影は禁止とのこと。残念。
夜はひとりバーゼルの旧市街へ。
トラムという路面電車の行き交う、旧市庁舎前。
なんだか柔らかい灯りです。
どこのレストランにしようかと、ゆらゆら、ゆらゆら。
会社帰りのお父さんとその家族。
ウインドウ越しにチョコレートを眺める、老夫婦。
親密な空気を包み込む、街の雰囲気。
人と人の暖かいつながりと、それを包み込む街の空気感。
ああ、いいなあ。
この街のそれらのシーンこそが、この旅の忘れられない一瞬となりました。
Keep smiling!
奥野 崇
関係の皆様にご迷惑をおかけしながらも、
先の一週間をかけて
ドイツ・スイス・オーストリアへと建築の旅へと出かけてきました。
スイスの建築家、ピーターズントー設計の個人邸が見られるとあれば、
行かない理由はありません。
その様子を何回かにわけてお伝えしていければと思います。
フランクフルト空港からまず向かったのはドイツ西部の街ケルン。
そのケルン郊外にあるのが、ブルーダークラウス野の教会。
2007年に竣工した、ズントーの設計。
この建築の特筆すべきは、それ自体はもちろんそのプロセス。
ズントーは設計するにあたり、
依頼主であるプロテスタントの夫婦とその村の人達に
自分達の手で施工すること、を条件として提示したとのこと。
依頼をしたご本人さんが、そう教えてくれました。
借り物ではなく、それぞれの想いと共に大切にされますように。
そう、願ったのではないだろうか。
外部に使われたコンクリートには近くでとれた川砂利と土が混ぜられ、
内部の型枠として使用された丸太材も、すぐそばの森から切り出したもの。
ぽっかりと開け放たれた中央の吹き抜けにはガラスも何もなく
雨や雪、風がふきこんできます。
※内部の全体の様子が分かる写真の掲載は控えてくださいとのことで、断片的な写真になります。
その地の人達の手による
その地の材料を使った
その地の人達のための小さな教会。
村に住まう人々が、大切な誰かと静かに祈りを捧げる場所。
静かで小さなこの建築。
足音、人の息遣いへと注意が向かい、内面へと意識を集中させられる建築。
Keep smiling!
奥野 崇