ご相談いただいております計画の現地調査でのこと。
なんと、敷地にある建物は明治43年に建てられた、築105年も経過したもの。
この老朽化した建物を「残すか」「建て替えるか」の判断材料を集めるための現地調査だったわけですが
立ち会ってくださった、近くに住む建主さんのおばあさまが、
建物のことを色々と教えてくださいました。
当時この建物がいかに立派であったかということ、
おばあさまのお姑さんから棟梁について聞かされていたこと、
変わりゆく町の中でどのようにして残り続けたかということ。
この建築を大切に思う気持ちが伝わってきました。
「残すか」「建て替えるか」の結論は
今後、耐震面・性能面・現代の生活との擦り合わせ・経済面など
多方面からの検討が必要で、慎重に冷静に進めていく必要があります。
ただ、おばあさまのお話を伺って改めて思うのは
建築の力と、それに関わる身としての責任。
100年を超えて尚、愛される対象になりうる存在であるということ。
今新たにつくられる建築も、全ていつかは古いものになっていきます。
時代やライフスタイルは変わっていけども、変わらないのは建築は常に人と共にあるということ。
目先の便利さや機能性という言葉の先にある、
建築と人との幸せな関係を築くことを目標に、やっていこうと思います。
keep smiling!
奥野 崇