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建築をまなぶ旅

瀬戸内海を前にして

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透きとおる風景を前に、改めて胸に刻む。

偉大すぎる先輩方の残した言葉。

 

瀬戸内海建築憲章

 

瀬戸内海の環境を守り

瀬戸内海を構成する地域での

環境と人間のかかわりを理解し

媒介としての建築を大切にする。

人間を大切にすることから

建築を生み出し創り出すことを始める。

それには瀬戸内海の自然と環境を大切にし

そこから建築を生み出すことにある。

環境と建築とが遊離し

建築が独り歩きすることはない。

先人たちのつくった文明を見定めこれを理解し

将来への飛躍のための基盤とし足がかりとする。

過去及び現代において

瀬戸内海が日本人のための文化の母体であったことを知るとともに

それが世界に開けた門戸であったことを確認する。

すなわちわれわれは

この地域での文明を守り

それを打ち出していくことと併せて

広く世界へ目を開き

建築を通じて人類に貢献する。

 

1979年9月

山本忠司(香川)・浦辺鎮太郎(岡山)・松村正恒(愛媛)(司会 神代雄一郎)

「鼎談 瀬戸内を語る─瀬戸内海建築憲章を横に」

『風声 京洛便り』第9号、1980年

 

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野太い建築に差す、柔らかい光。

床に反射し上げ裏をてらす。

息を呑む、とはこういうことでしょうか。

 

keep smiling!

奥野 崇

 

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奈良を巡る

平城京に花開いた天平文化。

機会が重なり、奈良に残る古建築を見て回ることに。

 

特に良かった建築、四点。

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正倉院宝庫

千年を超えて今に残るその姿。圧巻の安定感。

「永遠」という言葉が頭に浮かぶ。

 

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元興寺 僧坊

かつてはお坊さんの生活の拠点だった建物。

寺院建築とは異なり、人が暮らすためのこぶりなもの。

風や光を取り入れるために、南北の立面が異なるのも興味深い。

 

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十輪院 本堂

運良く、朝のおつとめに参加させてくださいました。

高さを抑えた本堂の由縁は、大衆信仰の対象であったお地蔵さんをそのままお祀りしているからなのだとか。

つくりは至って簡素。味わい深い。

 

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慈光院

片桐石州によって、境内全体を茶席として整えられたところ。

ほの暗い室内からは、建築と庭との幸せな関係がみてとれました。

 

 

keep smilng!

奥野 崇

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小屋場 只只

先日のこと。

山口県南部の大津島にある、1日1組の小さな宿「小屋場 只只」さんへ。

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大津島は、徳山港から生活用フェリーで30分の南北約10kmの小さな島。

太平洋戦争末期に人間魚雷回天の訓練基地があったところで、当時の軍事施設の一部は現在も残っています。

訓練にのぞんでいたのは二十歳そこそこの若者だったと、後から知りました。

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激動の悲しい歴史と、そんなことはまるで感じさせない穏やかな海。

そのすぐ傍に飾らない空間はありました。

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築10年を超えて

建築がもつ作為は時の経過とともに薄れ、

オーナーの哲学と、地に足が着いた宿守の方の空気感によって、もうひとつの家に帰ってきたような感覚。

勝手に「たくさんのしてもらえる」を期待していた自分に気付き、少し恥ずかしくもありました。

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オーナーが記した宿の記録帳に

「自分のためではなく、他者のために全力で生きた若者がいた。全国の人にそのことを知ってほしかった」とありました。

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贅を尽くした料理やサービス・建築だけが価値ではない。

伝えたい想いと空間と時間があれば、それでいい。

何にもないことは人を豊かにさせてくれます。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

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とある出会い

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元タオル工場を、ひとりの時間を愉しむ、だだっ広いオーディオルームへ。

とある打ち合わせ先で出会いました。

 

新しくつくったのでは得ることの出来ない、空間の質。

なんにもないことの豊かさ。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

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愛される建築

先日見学させて頂いた、西条の栄光教会牧師館。

原設計は倉敷の浦辺鎮太郎によるもの。

今治の長井設計さんを始めとする地元の方々の熱意と努力によって

素晴らしい改修がなされ、次世代へ繋がっていく。

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グリッドを縫う斜めの抜け、

レベル差による心の距離の表現、

点在するベンチによる居場所づくり、

が特にいいなあと思いました。

 

栄光教会は、倉敷レーヨンと創業家である大原家にゆかりがあります。

倉敷レーヨンを定年退職された方からも、直接お話しを伺うことができ

こちらの企業と、西条という町の歴史を垣間見る。

築60年を超え、幾多の困難を乗り越え、

今なお住民に愛される建築にふれて、胸があつくなった。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

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沖縄の建築から学ぶこと

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底抜けにきれいな海や空。

 

歩んできた歴史や、毎年の猛烈な台風など

厳しい環境の中、育まれてきた沖縄の建築文化。

それには、そこに住む人々の苦労と失敗の積み重ねから

徐々に形作られたことを肌で感じました。

 

環境に対して謙虚に、素直である。

気候風土への無理のない順応が、沖縄の建築の魅力であろうと思います。

 

と同時に、四国・愛媛の私達はどうか。と考えてしまいます。

その穏やかな気候のためか、

時に傲慢に「何でもできる」と思ってしまいがちです。

建築とは長い年月の間あり続けますから、

見せかけではいつか耐えられなくなります。

 

古い建物が魅力的なのは、

人間の力を過信せず、謙虚に小さな工夫を積み重ねた姿だからかもしれません。

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沖縄でもニュータウンと呼ばれるところでは、

過去の建築とは縁遠いものがたくさん建ってありました。

それは愛媛も同じこと。

 

生活スタイルの均質化や、建材の技術開発によって

空間性のみが取り沙汰されるこの頃。

今一度、じっくりと考えてみたいと思います。

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沖縄の旅のスケッチと写真をまとめてみました。

こちらからご覧になれます

 

 

keep smiling!

奥野 崇

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沖縄リゾートの先駆け

1945年の終戦から27年後の1972年、沖縄は本土復帰を果たします。

73年のオイルショックを経て、75年には沖縄国際海洋博覧会が開催され、

観光、リゾート開発が活発化していく中で、同75年に完成したホテル。

それがムーンビーチホテルです。

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設計は当時36歳の国場幸房さんをはじめ、国建のメンバー。なお、国建はこの事業の施主でもあります。

アメリカ軍のパイロットが空から偶然発見した三日月型のビーチを、

兄であり社長である国場幸一郎さんが購入したことから始まったそう。

激動・変革の中、

「これからの沖縄のリゾート施設の方向性を自分達がつくる」

との強い思いとエネルギーの中設計は進められた。

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大きなガジュマルの木の下をイメージして、

日陰をつくり、風の通る、家族で楽しめる心地よい空間をつくろうと

当時は1階部分を開放されたピロティ空間であった、との記録を見ました。

(現在は店舗として使われており改変されています)

 

それって、すごい。驚きました。

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ホテルの奥のほうにある古そうな部屋には、

客室入口の開き戸とは別に、風の通る鎧戸の備え付けがありました。

ここからは自分の勝手な想像も含みますが、

ドアを開けて、鎧戸をしめることで風が通り、プライバシーを守れるようにしていたのではないか。

ホテルって客室と廊下やロビーとは、プツっと切ってしまうもの。

ビーチに開放されたピロティーの風は、大きな吹き抜けから各客室まで抜けていたのでは。。。

 

全部がひとつながり。

温暖な沖縄ならではの、なんと大胆でおおらかであろうか。

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「あらゆる常識を逸脱した方法を考え(中略)大きな空間と緑豊かな空間を実現に導くことができた」国場幸房氏

 

きっとそう。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

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名護から那覇

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1981年竣工の名護市役所。象設計集団の仕事です。

一見、市役所には見えません。まるで遺跡のよう。

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建築と植物が、言葉の通り一体に。

ほどよく影を落とす、半屋外のパーゴラが雁行して、ずるずる繋がっていく。

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1階は移動の空間。2階は職員の方々の休憩の空間として使われていました。

大きなテーブルがおいてあったり、鉢植えが並んであったり、雑巾が干してあったり。

各課によって使われ方が違って、性格がでているみたいでおもしろかった。

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そうかあ。

市役所ってこういうもの、と思い込みがあったのだなと気付く。

中のレイアウトは使いにくそうなところもあったけど、何しろ半屋外の空間が魅力的。

妙に整いすぎてないところに、

職員の方々の生活感というか、人間味が感じられて、ほっとします。

こういうアットホームな市役所があったっていい。

 

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続いては、沖縄県立博物館・美術館。

琉球地域に残る、グスク(城)をオマージュしています。

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ポーラスな外壁の下には、気持ち良さそうな空間。

時間によって、表情も変化していく。というもの。

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なにしろ展示が良かった。

沖縄の歴史を幅広く、わかりやすく展示してあります。

文化財的なものから、民俗的なところまであって見入ってしまいます。

当時の魚売りのおばちゃんの録音も流されていて、琉球の言葉を聞く。

小気味よい響き。

 

最後に。

美術館の企画展で見た、儀間比呂志さんの版画。

沖縄戦での生々しいエピソードをもとに、たくさんの作品を残されました。

恐くて、悲しくて、痛々しくて。

涙が流れました。

 

 

keep smiling!

奥野 崇

 

 

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識名園

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識名園は琉球王国の別邸としてつくられたものですが、

先の第二次世界大戦、1945年の沖縄戦で焼失しました。

現在の建物は1996年に復元整備されたものです。

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小さな中庭が点在していて、あちらこちらで光がもれる。

無理がない屋根のかけかた、平面計画で安心感があります。

視線の扱いも巧み。

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時に強烈な風雨にさらされる土地柄。

 

自然から守り、自然を愛でる。

おとなしやかな建築。

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keep smiling!

奥野 崇

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